第5章 地域ビジョンの総括
本地域ビジョンは、関東の中小造船業・舶用工業の現在の苦境の状況を調査しその原因と問題点を探り、今後の5年から10年の将来を睨みつつ、現状に対する対策を打ち出すことを目的にしている。
5-1 概要
本報告書では、総花的に課題を羅列する手法を避け、委員会委員へのアンケートを行い、大きく以下の3テーマに絞り込んで、具体的な検討を行った。
3つのテーマのうち、業界が非常に困難な状況にあることから、まず需要創出が欠かせないとして、需要開拓の可能性を探るために『新規需要開拓分科会』を設置して、首都圏プロジェクトやモーダルシフトにおける需要可能性などについて検討を行った。
更に、東京湾内に多く存在する官公庁船や旅客船・タグボート・小型タンカー等の修理造船所、機関・電装関連事業者の合理化・近代化を目指す『近代化・合理化分科会』を設置し、船舶修繕業界の業務協調・統合や近代化のための新しい船舶管理の考えについて検討を行った。
最後に、中小造船・舶用工業の業界を巡る環境として、人材の不足が根本的な課題として残っている。新規需要にしても、近代化・合理化にしても、経験が豊富で幅広い知識を持った人材が絶対的に不足しており、この面で有能な人材を得ることがどうしても必要である。このため、関東地区の特徴である大学・国立研究所・大手造船事業所・その他異業種業界の有能なOBを組織化し、新しい情報手段であるインターネットによって技術情報まで含んだ情報交流の促進を目指して『造船・舶用工業技術情報支援センター分科会』を設け、その問題点の整理・解決と具体化に取り組みんだ。