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陸路が確保できる場合には、基本的に現地にあるトラックなどにコンテナを積載するが、それらが調達できない場合に備えて小型車両でも牽引可能なほか、陸路が確保できない場合には、船舶への積載・曳航やヘリコプターによる空輸など様々な状況に応じた柔軟な対応が可能である。また、通常時は簡便なコンテナ輸送にも使用できる。

その最大の特徴は、災害時に陸路が完全に寸断された場合でも、被災地近傍まで陸路などで高速輸送した後、海岸あるいは河川のスロープから直接進水させ、馬力のない小型船でも目的地まで比較的容易に曳航できる点にある。そのため、少人数でも漁船やプレジャーボートを使って、迅速に緊急援助物資を被災地から至近距離の海岸・河岸部まで運ぶことが可能である。また、コンテナは結合が可能であり、複数個のコンテナを同時に曳航することもできる。

本システムは、前出の「荒川沿川のリバーステーション」で課題としてあげられた「舟運から陸上輸送への積み替え時間の短縮」、「多様な輸送品目への対応」に対する一つの解決方法を与えるのものと考えられる。

なお、陸上においてトラックなどで牽引する場合に備えて、牽引車と連動したブレーキシステムを取り付ける必要がある。

 

4-3-5 新規需要開拓のための課題とその解決策

 

本項では、新規需要の開拓を目的として、実現性が高いと思われるいくつかの具体的提案を行ったが、これらの提案を実現するためには、いくつかの課題があることが指摘された。

以下、それらの課題を整理するとともに、その解決策について検討した。

 

(1) 旅客船の運航に係る課題

 

1]従来、海上運送法により客船の運航は規制されるとともに保護もされてきた。これに対する規制緩和については、その実施時期をよく見極める必要がある。

2]港湾は運輸省、河川は建設省の所管であることから、今後河川舟運など広域的な旅客船の運航を実現するためには、両省の協力による整合性のある管理が望まれる。そのような意味では、現在、関東運輸局、運輸省第二港湾建設局、建設省関東地方建設局の3者共同で進められている河川舟運に関する検討会に期待する部分が大きい。

3]旅客船の場合、利便性や安全制の面からターミナルなどの建物内部から直接発着できることが望ましく、これを可能とする土地利用面での規制緩和の推進が望まれる。

 

(2) 貨物船の運航に係る課題

 

1]客船については荒川に12ヶ所建設されるリバーステーションが利用できるが、貨物船についてもこれを利用する方向で検討するとともに、貨物船用の船着場を建設する場合も想定しておく。

2]河川の船着場において、コンテナも荷役できる簡易クレーンの開発が必要である。

3]喫水が2m程度と客船に比較して深く、また航行隻数の多い貨物船が河川を常時運航するためには、航路を設定し航路標識を設置して、常に航路内の水深を確保するように浚渫する必要がある。

 

 

 

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