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(6) 通勤船構想の検討

 

都心部での交通渋滞や通勤電車の大混乱を緩和し、かつCO2排出量の抑制と都市部での騒音対策として、東京湾岸地域や河川を運航する通勤船は多くのメリットを持つと考えられ、前出の「低公害型高速船」は重要な候補の一つである。

しかし、通勤船は定時運航を保つために十分な耐航性を持たねばならず、また陸上交通機関の運賃と競争できる経済性を兼ね備えていなければならないため、運航ルートが限定されるとともに、安定的に顧客となる大手企業の確保など、実現には様々な問題をクリアする必要がある。

また、利便性や効率性を考えると、陸上バスと同様にターミナルなどの建築物の中からの直接発着することが望ましく、「低公害型高速船」の項で触れた建蔽率・容積率に係る問題などを勘案すると、現時点で東京湾岸部での実現可能性は低いと考えられる。

 

(7) 水陸両用コンテナの開発

 

平成10年には、立て続けにトルコ、ギリシャ、台湾で大地震が起きて多くの人命・財産が失われた。また、阪神・淡路大震災においても、建物の崩壊に加えて道路や鉄道も寸断され、港湾施設もその一部に重大な被害を受けた。

トルコ、台湾には日本からも緊急援助隊が直ちに派遣され活躍したのはまだ記憶に新しいが、これらの体験から、いかにして緊急援助物資を一刻も早く現地に送るかということは、最重要の検討課題である。

そこで本調査では、地震などによる災害が発生した場合に、緊急援助物資を迅速に現地へ運び入れることを目的とした、図4-3-8に示す水陸両用コンテナを検討した。このコンテナは、災害発生時に航空機や船舶などで災害地近くまで輸送し、その後は現地の被災状況に応じて目的地まで輸送することができる。

 

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図4-3-8 水陸両用コンテナ

 

 

 

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