(2) 首都圏プロジェクトの調査
1) 荒川沿川のリバーステーション
関東地方建設局は、荒川を対象とした河川舟運の実現可能性調査を行ったが、その中で、荒川下流部に12ヶ所整備を計画しているリバーステーション(防災用船着場)の第1号となる新田リバーステーション(足立区新田3丁目)を活用した土砂搬入実験を行っている。
それによると、東京湾から北区北赤羽まで土砂を運搬するケースを想定して、陸上輸送だけの場合と、河川と陸上の併用輸送の場合との比較を行った結果、河川・陸上の併用輸送は所要時間が約3時間30分と、陸上輸送だけの場合に比べて約2倍の時間がかかるものの、輸送コストは約1割削減、CO2排出量は約1/10にまで低減できることが分かった。
また、荒川周辺で河川輸送への転換可能性のある物流は、1日当たり約1万4,200トンと推定されており、この物流量が河川輸送に転換した場合、東京23区から埼玉県間の貨物交通量が5%削減でき交通渋滞が緩和されるほか、NOx(窒素酸化物)も約3%削減できるという。
今後、荒川の河川舟運を実現する上での課題として、以下の項目があげられている。
○舟運から陸上輸送への積み替え時間の短縮
○船舶の輸送速度の向上
○多様な輸送品目への対応
本プロジェクトは、防災・物流・環境の面から見て非常に望ましいプロジェクトで、造船・舶用工業界としては積極的に協力すべきものであり、前述の「低公害型高速船」は本プロジェクトに非常に適した提案であることから、同提案の早期の開発が望まれる。
2) 首都圏第3空港の建設
東京が世界の経済センターの一つになるためには、首都圏第3空港の建設が必要である。現在、その候補として東京近辺でのメガフロート(超大型浮体式海洋構造物)による空港建設があげられており、これが実現した際には、海洋工事に係る船舶や陸との交通手段など大きな需要が期待できる。
したがって、今後は首都圏第3空港プロジェクトの動向をフォローアップするとともに、実現に向けて関連業界としての積極的な働きかけが必要である。
3) 浦安沖のメガフロート建設
現在、浦安沖に防災用備蓄基地やアミューズメント施設としてメガフロート建設の構想が立案されている。これが実現すれば、首都圏第3空港と同様に大きな需要が期待できるので、これについても今後の動向をフォローアップする必要がある。
4) 台船式清掃工場建設計画
平成3年10月に東京都が策定した「清掃工場建設計画」の中で、台船式清掃工場が検討されている。