3) 多機能作業・環境整備船
従来のゴミ回収船、油回収船、一般作業船は、それぞれ単一作業機能の船がほとんどである。本提案は、双胴作業船をベースに、ゴミ回収や油回収作業など様々な局面で、それぞれの作業に対応した機能を持つカセットコンテナに積み替えることにより、多目的に運用可能な小型作業船を提案したものである。
油回収、赤潮処理は緊急的な使用が多いが、これらの機能を持つカセットコンテナを標準化しておけば、緊急時にカセットコンテナを陸送して本船に搭載することにより、隣接する地方自治体などでの共同使用が可能となる。
カセットコンテナとしては、以下の5つが提案されている。
○ゴミ回収コンテナ
○油回収コンテナ
○赤潮処理コンテナ
○人員輸送コンテナ
○各種計測器や解析装置を搭載した計測器コンテナ
カセットコンテナを搭載する双胴作業船としては、トラックで輸送可能な4トン型(4級免許)と、沿岸航行型の19トン型(1級免許)が提案されている。
4) DPP(ダイナミック・パフオーマンス・プロペラ)型プロペラ
DPP型プロペラとは、従来型のプロペラに比較して以下のような特徴をもつ。
1]徹底した軽量化
2]ウォッシュバック構造の採用
3]先端部に取り付けたカップによる強度維持
実船にDPP型プロペラを装備して実験したところ、従来のプロペラより船速で2.2〜4.8ノット、燃料効率で約11%の改善効果が示された。
今後、水槽や実海域でのテストを実施して更にデータを収集して比較分析を行うことが必要になるが、本提案の仕様変更技術が確立された場合には、現在運航されているほとんどの船舶に適用可能であるため、水槽や実海域でのテストに係る公的な支援が望まれる。
5) 水陸両用船
陸上での自走能力と水上での航行能力を併せ持つ水陸両用船は古くから開発が進められているが、様々な要因から一般に普及するまでには至っていない。
しかしながら、鎌倉及び市川消防署では緊急車両としてRV車型の水陸両用船を配備しており、一部の電力会社でも使用されている。また、アメリカやカナダ、オーストラリアなどでは観光客向けのバス型の水陸両用船が運行されている。
阪神・淡路大震災の際に海からの支援活動が注目されたが、水陸両用船は災害発生時に水面から救難活動などを支援する場合に非常に有効であるだけでなく、お台場やMM21地区など観光・レジャースポットとして賑わいを見せる臨海部では、手軽な交通手段及びアイキャッチとしても非常に有効であると考えられる。
したがって、今後水陸両用船の需要を拡大するような施策の展開や、事業者自らの営業努力が望まれる。