(4) 会員企業
センターの役割は、中小造船・舶用工業の人材不足を解消し、優れた技術と経験を継承するものであるため、できるだけ多くの事業者が参加し、懸案の問題解決に自ら努力して取り組めるような体制とする。
つまり、関東地区の中小造船・舶用工業は、本センターを受動的に利用するだけでなく、会員同士の横のつながりを生かし、個々の事業者では取り組めない技術開発などを、スペシャリストの支援を得て行うことができるという面を、周知徹底することが重要である。
1) 会員事業者の構成
会員事業者の範囲を旧来のままの狭義の造船・舶用工業としては、今後の業界の発展は望めないため、都市型造船・舶用工業として新たな事業を開拓するため、設計業者やコンサルタント事業者など異業種からの参加希望を積極的に促す。
○中小造船事業者(新造・修理・沖修理・ぎ装品製造等)
○中小舶用工業者(製造・機関整備・電装業等)
○設計事業者 ・海洋コンサルタント事業者 ・海洋マリコン
○中小異業種事業者(機械・電気・建築・土木・農林水産等)
○マリーナ事業者・レジャー艇事業者………・・
2) 会員事業者の利用
ユーザー登録を済ませた会員事業者には、ID番号とパスワードを交付する。会員事業者は、一般のユーザーにも開放されるホームページを閲覧可能なのはもちろんのこと、ID番号とパスワードを使って会員限定のデータベースや質問コーナー、スペシャリスト派遣申請などを行うためのホームページにアクセスできる。
一方、会員の義務としては、スペシャリストの派遣を受けた場合には、自らその結果についてセンター事務局に報告書を提出することの他、センター事務局が依頼するアンケートに回答することや、自らが持つ情報を積極的に提供することなどが考えられる。
この他、会員企業同士の連絡や事務局への提案などに主体的に参加する権利を有する。センターという新しいメディアの場を業界の財産として、いかに発展させるかは参加者自身の努力にあることを自覚してもらえるような仕組みが必要である。
4-2-4 センター設立に向けて
ここまで、センターの理念と機能について概略説明してきたが、その設立についてのスケジュールや予算などについては、今後有識者や業界団体、当事者などからなるセンターの設立準備委員会を設置し、具体的な設立方法などについて議論を重ねていくことが必要となる。
特に、センターを一貫した体制で設立・運営していくためには、その企画の段階から事業の推進役となるリーダーが必要となる。また、中小事業者の意見やスペシャリストを募集する際の条件などを詳細に検討し、センターの設立に向けて早急に規定づくりに取り込む必要がある。
このため、今後中小事業者のOBや大学、行政などに呼びかけて委員会設置の準備を進めるとともに、今後本プロジェクトを積極的に推進していくキーパーソンとなる人材を発掘する必要がある。
先に述べたとおり、早急にセンターを実現させ、これまで意欲はあってもその能力を活かす場がなかった、豊富な実績とノウハウを持つ業界のOBと、不況にあえぐ中小事業者を仲介し、新しい展望のある都市型造船・舶用工業を実現する体制を構築することが求められている。
本提案のメリットとして、OBの側から見れば、インターネットを利用することで常時現場にいなくとも自分の持つ技術・ノウハウが社会に役立ち、更には社会の情勢を肌で知る良い機会となり、定年後の情報不足を補うものともなる。また、条件さえ整えば中小企業と雇用契約を結ぶ機会が得られることから、社会的な意義も大きい。
本提案を参考に、中小造船・舶用工業のみならず、海洋関連産業全体の底上げにも役立つようなシステムが具現化することを期待する。