2) 具体的内容
(2)でも見たように、ともかく効果の大きな方策に挑戦すべきである。
第一には材料費及び外注費の削減である。次いで、工程管理及び工数削減である。現在、各社の人員、特に協力会社の場合には人員の調整は協力会社自身に任されているが、それでは技能に関係なく単なる人集めにならないとも限らない。尾道地区では、各社が協力会社の能力も把握し、不足する場合は協定を結んでいる造船事業所に連絡し、そこから廻してもらっており、それによって、一定レベルの技能者をその地区に定着させようとしている。そこで、第三には造船事業所が主導権を持って人員手配ができるようにすることである。
3) 具体的な進め方
材料、外注、工程管理(新造、修理)及び社外工管理の実態について各々に2名の担当者を出してもらう。担当者は、上記4項目について必要事項を各社に提出してもらう。各社が実務、知識から見て最適任者を出すかどうかで、後々の効果が決まるであろう。何をどう調べるか、どこに行くかなどは担当者が決め、責任者の了解を取って実行する。各グループは、月1回検討会を開催し、その結果を責任者に報告する(調査したことを参加者がどう実行したらよいかの方法論を発表することが必要)とともに、参加6社の担当者を集めて説明を行う。月1回と頻繁に行うのは、時間的な猶予がないからである(今後、赤字会社に金融機関がどのように対応するかわからないため、早急に赤字体質を清算しておく必要がある)。
更に、各社で実行する上での実際に起きた問題点、その解決法なども参加者のノウハウとして必ず報告する。
これに近い方法は、広島県の中手造船事業所3社が行っており、初期の頃はかなりの効果を出していた。重要なことは、聞く、真似をする、また聞く、真似をすることを繰り返し、参加事業所全員のレベルを上げることである。真似もまた開発の一つであり、必ず大きなコストダウンを達成できる。
(4) 将来におけるステップ
まず、6社が協力することによって、各社でできる合理化を行いながら、その後のステップを検討する。その段階では、横浜・横須賀地区と三崎地区に分けて、それぞれができることを話し合って集約化の道を探れば良い。
新しい土地を求める場合には、その可能性をその時から検討すれば十分である。何故なら、既に利益を確保でき、更に前に進むことに意欲が湧いていると考えられるからである。
その段階で考えられるのは、1]仕事の分担と不足設備の充実、2]設備の貸与、3]人材の融通、4]出資新会社設立、5]受注先開拓、などが課題になろう。
ここで、東京湾内の中小造船事業所が競争力を持つために必要な設備を列挙する。もちろん、部分的に取り入れてもよいが、それでは競争力の強化につながるかどうかは疑問である。
なお、既に中小造船事業所が常識的に持っているもの、例えば500トン程度のプレス、CO2溶接機などは当然のものとして除く。