11年度上半期を4社のデータで見ると、売上は40%弱減少しているが、現場作業時間は218千時間(単純年換算で436千時間)であり、10年度532千時間より9.5%減っているに過ぎない。これは、社内工だけですべてに対応できない、不要であっても社外工を常傭的に置かざるを得ない、などによるが、操業度が安定しないことから考えると、基本的には社内工が多すぎる、多能工が不十分、力のある社外工が少ない、作業のある時は人員配置が不適、工事にかかる時間見積が甘い、などに起因していると言える。
社外工に常傭的人員が多いが、社内工も含めて遊びの時間(船主に請求出来ない時間)を2〜3社で調査したところ、15〜20%という回答があったが、厳しい経営状況にありながらこのような状態をそのまま放置しておくのは問題である。
3] 協力会社の規模と賃金
協力会社の規模が小さいことは、様々な点で発注者にマイナスをもたらし易い。
ア.技能的にも間違いない職人を揃えにくい
イ.赤字になると自力で資金調達が出来ない
ウ.請負をする力がない(社内で細かな管理をする必要がない-社内スタッフが減る)
エ.中途半端な仕事の与え方になり、能率が阻害される
オ.親方にコスト意識のないものが多いなどである
ここで言う規模というのは、ある一定期間に一定の仕事量をこなす事が出来る労働力を持っているということであり、それは技能的に遜色ない他の協力会社を含めて随時動員できる大きさを言う。
実態を見ると、新造船では船殻で若干そうしたものが見られ、修繕船でも、塗装は8名という組が2〜3組あり、人的に十分対応できる。一方で、仕上は技術的にも人員的にも任せられるのは1〜2組に過ぎず、社内工の方が技能が高いという事業所もあった。また、配管、鉄工などは1〜3名という組も多く、これでは常傭的になり、造船事業所の能率は上がらず、経費がかさむだけである。
賃金は、多くの造船事業所で実質3,000円という結果であったが、西日本地区では、現在2,000〜2,200円が多く、最近では社外工の賃金をカットしてない事業所はないといっても良い。更に一部の事業所では2,000円を割るところもある。ただカットによって会社の競争力がつき仕事が増えること、合理化の方法を指示するなども必要なことである。
4] 年齢構成
平均年齢は社内工43.5歳(50代1社)、社外工50.6歳(40代1社)であるが、両者の年齢に大きな差がある。通常は、社内工の方が上下架、木工、雑役などが多いために平均年齢が高い。