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また、本数はあるが、幅20m以上の大型作業船を上架可能な船台(2基以上を使用)は1社にすぎないが、特色のあるものが少ない。また、船台そのものの老朽化が目立つので改修を急ぐ必要がある。

ドックは4基あり、うち3基は許可設備となっている。このうち、1社2基は幅が23mあるため鮪船などは2隻が並列入渠可能となっている。入渠船は10年度で163隻にすぎない。並列入渠がないとみなしても、1ドックあたり41隻にすぎず、入渠隻数からみると非効率的な使い方をしていると考えられる。

これは、年間を通してドック入りを追われるほど忙しくない、岸壁が少ないので渠内工事を多くする必要がある、などの理由が考えられる。瀬戸内地区では乾ドックでも年80〜100隻(入渠船の種類が違うが)入渠させていることから見ても、少な過ぎるといえる。

 

4] ぎ装岸壁

 

岸壁は1社の最長が115mで、6社合計でも545mにすぎない。また、岸壁はあっても十分な能力を持ったクレーンがなく、単に係船のみしかできないところもあるので、実際の作業場所としての岸壁長はこれよりはるかに少ない。

 

5] 定盤

 

面積は合計で1,857m2あるが、ほとんどは格子状の旧式のもので、切断用、溶接用、組立用(フラットなものが多い)として整備されたものは見当たらず、精度維持の点からも整備が必要である。

 

6] クレーン・運搬設備

 

クレーンは延べ40基あるが、船台サイド、ドックサイド、推進器吊上げ用のもののうち、10トン以上の吊上げ能力を持つものが目ぼしいものであり、天井クレーンや門型クレーンは、新工場のものを除いて見るべきものはほとんどない。このため船台搭載時には大型レッカー車をレンタルしている事業所もある。

多くの造船事業所では、路面舗装が施されておらず、また狭いこと、更には上架設備のワイヤーなどが邪魔をしているため、電動車、フォークリフト、高所作業車など小物運搬、作業合理化を計れる運搬設備は活用されていない。これらの設備は、運搬が楽になるという面だけでなく、高齢化に備えて楽に仕事を進められるという点にもっと注目して、設備の活用を図るべきである。

 

7] その他設備

 

注目すべき点は、未だに溶接棒による溶接が主に行われていることである。西日本地区では、2〜3隻しか建造してない事業所でも、CO2溶接が当たり前になっており、一部では修繕にも多用している。仕事量が少ない、また溶接工が使えない乃至は下手とはいえ、このような技術面での後れは大きな問題である。板が小さいこと、溶接方法が違うことだけを取り上げても、西日本地区とは20%程度の能率の差が出てくる。

ガス類に関しては、タンクによる集中配管方式をとらずに瓶詰めを利用しているが、量の問題があるにしても、コストを最小にする努力は十分とは言えない。

 

 

 

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