日本財団 図書館


一定量の仕事があるという前提に立てば、この両設備で30%以上の時数削減が可能になる。

また、土地の面積に次いで、その場所と形状が重要となるが、その条件は以下のとおりである。

ア.ある程度の大型化への対応が可能であること(拡張可能性)

イ.ぎ装岸壁が十分取れること

ウ.対岸との距離が十分あること

エ.すぐ側に航路がないこと(船の往来が少ないこと)

オ.波浪が入ってこないこと

カ.流れが遅いこと

キ.風当たりが弱いこと

ク.民家が少ないこと

これらの条件について検討してみると、アの条件を満たしているのはB社のみであり、イに至ってはその条件を満たしているところはない(100mの船を横付できるところはない)。ウ以下についても、辛うじて条件を満たしているところが2〜3社あるのみで、その多くはこれらの条件を満たしていない。

これらのことから考えると、各社が現在地で操業を続けていくのであれば大型化はしない(出来ない)中で合理化案を考える以外にないが、特に199総トンから499総トンという僅かな大型化でも対処が難しいことがわかる。

 

2] 建物

 

建物面積は、合計すると11,524m2とかなりの面積になる。これらのうち比較的新しいものは良いが、以前からのものは老朽化が激しく、かつ暗くて狭く、労働環境として決して良いものではない。

新造船を建造している3社では、現図場は良いが、内業工場そのものは野外であるか、あるいは旧態依然のままであり、コストダウンや精度の向上といった努力を感じさせるものは見当たらない。

造機工場は、推進器に対応する冶具を備えているが、工場そのものは旧来のものも多く、作業が出来るというにレベルに止まっている。

 

3] 船台・ドック

 

建造に使用されている建造船台は4社で4基であるが、そのうちの1社は最近ほとんど使用してないので、実質は3社3船台である。最近5年間の最大年間建造量は7隻に過ぎず、1船台で十分対応可能なものである。

新造船建造についてみると、今後の船価低迷、設備償却、合理化のメリットを考えると、年10隻程度の建造能力を持って始めて競争力のある造船事業所となることが出来ると考えられる。

修理用上架船台は499総トン以下が17基あるが、極めて老朽化が進んでいるものも多い。10年度に上架した隻数は384隻で、これを1船台で年60隻修理するとすれば7基あれば十分という計算も成り立つ。

しかし、今後小型船は漸減していくと考えられるので、5〜6基あれば十分対応可能であろう。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION