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全国の建造隻数の減少により、国内的には舶用機器の需要が低下傾向にある。

事業者の多くは、この対策として事業の多角化や生産設備の近代化を考えているが、不況下であり他産業も厳しい状況にあるため、新たに多角化などの施策を推進するには難しい時期となっている。舶用機器の標準化、共同購入などの一層の推進を行い、コスト低減を図る必要がある。

首都圏に立地するため、「情報の収集」「顧客の本社が多い」などのメリットがあり、顧客の要望が得やすい。舶用機器の技術開発等においては恵まれた環境にあるといえる。

 

2) 機関整備・修理・電装業

 

関東地区の多くの造船事業所では、機関整備、電装業の協力会社に依存している。

これらの事業者は比較的高い技能・技術集団であり、機関等の整備関係において大きな力となっている。しかしながら、事業規模は小さく、従業員の高齢化が進んでいるため、若年人材の確保や教育が課題となっている。

関東地区では、小型機関の販売、整備を行う事業所が多い。陸揚げ可能な高速機関などはメーカーの代理店となっている専用の整備工場において、メーカーの整備基準に基づいて整備されている。従業員はメーカー側の研修を受け、高度な整備技量を習得している。

東京湾には、小型旅客船、作業船、官庁船など約1,700隻の船舶が就航しており、関東地区には、これらの船舶の整備に必要な技量を保有する機関整備・電装関係の事業者が多数集積しているといえる。

 

(2) 問題点

 

1) 舶用機器製造業

 

1]関東地区の舶用工業の大半は中小企業あるいは小規模な零細企業で占められている。

これらの事業者の経営基盤を強化する手段として、多角化を図るとともに、舶用機器の高信頼度化に対応できる技術基盤を確立していく必要がある。

特に、これから建造される船舶はモーダルシフトの推進等で大型化、合理化された高性能船舶が要求されていくものと思われるため、ますます需要者の要求に沿った研究、開発の必要性に迫られている。

2]舶用工業事業者の年齢構成をみると40代から50代をピークとした年齢構成を示しており、今後ますます高齢化が進むものと思われる。

この年代の退職時期には、「人材不足」と、「技術の伝承」の問題が生じてくるものと考えられ、若年労働者の確保と人材育成が重要な課題である。

3]事業所の機械設備は、老朽化が進んでいるもののNC関係の設備が増加していることから徐々に更新がなされているものと推定される。

新製品の研究開発のための設備投資が行われている一方で、研究開発の遅れを問題としている事業者が29%ある。

新製品の開発も重要であり、支援策の利用或いは共同研究などいろいろな施策を考えていく必要がある。

 

 

 

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