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2-2 造船業の現状

 

2-2-1 世界の造船業の動向

 

(1) 市場動向

 

世界の新造船建造量は、1998年、2,530万総トンで前年に比べ若干の減少が見られたが、1996年以降の大量受注の影響により大きな落ち込みは見られない。受注量は、前年に比べ約1,000万総トン落ち込み、1996年からの高水準の受注量から、過去数年の平均的な受注量へと落ち着いてきたものと思われる。

このうちわが国は、建造量ベースで約1,000万総トンと全世界の約40.0%、韓国が約720万総トン、約30%と両国で全世界の約70%を占めている。

これに対し売上高で比較すると、総トン数ベースの建造量のシェアで、わずか10%程度まで低下している欧州は、売上高ベースの建造量のシェアが約30%のわが国と肩を並べており、付加価値の高い船舶(旅客船等)の生産に特化していることがわかる。

 

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図2-2-1 世界の新造船建造量の推移

(ロイド資料より作成:100総トン・竣工ベース)

 

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図2-2-2 世界の船種別売上高

(欧州造船工業会 Annual Reportより作成)

 

(2) 外国造船業の状況

 

1) 韓国

 

1994年から大財閥が大規模な設備投資を行い巨大な設備を有しているが、過剰投資の金利負担、通貨危機をきっかけとした金融不安等による信用不安、ここ数年の大量受注船の納期問題等、厳しい状況が続いている。

最近は、LNG船やコンテナ船等の高船価船の受注が続き、これまでわが国が得意としてきた分野への進出が目立っており警戒を要すが、当面は経済危機によるウォン安が追い風となって好調を維持しているものの、数年先には低船価受注の影響が顕在化してくると思われる。

 

2) 中国

 

中国の造船業は、1982年には、世界第17位であったが、1998年の建造量は160万総トンを超え、1994年からはわが国、韓国に次いで5年連続で世界第3位の位置を保っている。

中国政府は、10年以内に新造船マーケットの10%のシェアを確保することを計画しており、主要な造船事業所では造修設備の拡充、生産効率の改善等が図られている。

今後、安価、かつ豊富な労働力を背景として、わが国にとって、韓国とともに大きな脅威になると考えられる。

 

 

 

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