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3]造船研究協会を中心とした産学官の連携の実が幸を奏した

(とりわけ、溶接技術について理論とプラクティスにおいて貢献した)

4]アメリカ流の技術が呉のMBCに導入され、技術移転から石川島播磨重工業の発展及びわが国造船界の建造技術の革新に繋がった(異文化との交流)

5]自動溶接機(ユニオンメルト)が導入され作業効率が上がった

6]NCガス切断機が開発され各社に普及した

7]ブロック建造方式が開発され大型クレーンの導入と相俟って効率の大幅アップを達成した

8]先行ぎ装の導入

9]品質管理の導入、アメリカで開発され日本で成長し従業員の意識改革まで浸透した

10]コンピュータに依る作業工程管理の導入

また、わが国の造船・舶用工業の発展を支えた技術として、以下の項目があげられている。

1]球状船首が考案され大型船の効率化に寄与した

2]MAUプロペラが開発された

3]ストリップ法が応用され大型船の波浪中の挙動を統計的に処理でき、安全で信頼性の高い船舶の建造に寄与した

4]有限要素法の発達で、大型タンカーの構造分析を行い、合理的な各部応力の推定から構造様式が革新され、船こく重量の軽減が建造工数の低下に連がり、タンカー受注に効果を発揮した

 

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図2-1-4 建造技術の変容

出典: 日本造船学会誌

 

一方、現在のわが国の造船事情をみると、昭和48年の第一次オイルショック、昭和53年の第2次オイルショックの影響をまともに受け、建造量の激減によって過剰設備・過剰人員が顕在化することになり、造船業基盤整備事業協会の資料によると昭和55年に37%、更に昭和63年に24%の建造能力の削減を実施している。(図2-1-3)

造船業はこの間、減量経営、陸上部門への多角化、削減した人員による生産性の向上等に必死の努力を払ってきたが、アジア諸国の追い上げと急激な円高の前に存続の危機に直面している。

 

 

 

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