1-4 対象新規事業分野
1-4-1 造船分野
管内中小造船業のマーケットは漁船の造修が中心であるが、(1-3)でも触れたとおり漁船造修のマーケットは縮小傾向にある。アンケート調査結果にあるように、中小造船事業者の多くが今後も造船分野に一定のウエイトを置いた経営をしたいと考えており、それには漁船以外にも有望な市場を検討する必要がある。
本調査では、管内中小造船事業者にとって有望と思われる市場として「小型観光用船舶」を取り上げたが、選定理由は以下のとおりである。
(1) 管内は全国的にみても有数の観光地を多く抱えている。現状においても、新潟運輸局に航路登録して管内の沿岸・湖沼における観光船や河川・渓谷の川下りの舟等を保有しながら営業している観光事業者は33社(公設を含む、巻末: 「資料IV」参照)存在し、いわゆる小型観光用船舶の造修需要は相当程度期待できると考えられること。
(2) 新潟地区の観光ビジョンとして「信濃川ウォーターシャトル」、「通船川、小阿賀野川を利用した舟による信濃川・阿賀野川の回遊ルートの構築」等舟運を用いた観光開発が提案されていること。
(3) 高齢化社会の進展とともに余暇開発としての「観光」は、今後ますます伸長が期待される分野であること。
1-4-2 非造船分野
造船で培った技術を活用して、造船以外の新たな事業分野への進出についても検討する必要がある。本調査では、非造船分野での有望と思われる分野として「FRP・アルミ製陸上製品」を取り上げたが、選定理由は以下のとおりである。
(1) 設備的には、管内中小造船事業者の現在の企業規模、業況等から勘案し、新規事業にかかる新たな設備導入のために資金調達を行うというリスクを抱え込める状況ではないことから、既存の設備(溶接機械、クレーン、木工機械、集塵装置、鋼材加工機械、旋盤等)にて対応可能な分野であること。
(2) 技術的には、FRP船製造技術に用いられる「ハンドレイアップ法」という手作業の技術の応用、アルミでは「切削、曲げ、溶接」といった技術ノウハウを生かせる分野であること。
(3) 適度な商品サイクルによる需給が見込まれ、地方のローカルマーケットにおいてもある程度の需要が予想される分野であること。
ただし、生産形式については、設備導入を行わないために大量生産によるコストダウン等のスケールメリットを享受できないことから、先発業者との価格競争に対抗できないので、多品種少量生産いわゆる単品型生産の分野を前提として検討している。