重症度(生活に及ぼす影響)は仕事が手につかないくらい影響がある者が母では21.8%、父で21.3%を占めた。毎年のようにおこると答えた者は、母80.9%、父86.5%であった。
月別の頻度を母と父で比較すると、図8に示すように母父ともに、定めた定義により2月から5月に多いのは最もであるが、どちらも秋にも小さなピークが見られた。また、どちらのピークについても母が父より早くむかえる傾向が観察された。
スギ花粉症ありの者で症状が出現する時間帯は、母では早朝から朝にかけてが多いが父では起床時から夜が多かった(図9)。軽快手段は、母父ともほぼ同じ傾向であったが、掃除が母で高かった(図10)。症状のでやすい場面では、母父とも外出時がもっとも高かった。そのほかの場面もほぼ同じ頻度の傾向を示した。しかし、「まめに掃除する」と「布団の出し入れ」は母で高かった(図11)。
D.スギ花粉症の症例対照研究
方法で示した定義に従って症例(スギ花粉症あり)母252人、父179人、対照(スギ花粉症なし)母2565人、父2608人について環境要因(住宅環境: 住宅地/農村、交通量の多い道路への距離:100m未満/100m以上、一戸建て/集合住宅、つくり: 鉄筋コンクリート/木造・モルタル)について単変量及び多変量解析を行った結果を表3に示す。父、母ともに単変量解析では、どれも有意な結果ではなかったが、多変量解析の結果、鉄筋コンクリート造りが木造・モルタル造りに対してオッズ比が1より大きく、有意であった。
また、母については、本人のアレルギー疾患の有無、本人の両親のアレルギー疾患有無について情報を得たので、それら宿主側の要因について単変量解析を行った結果を表4、5に示す。喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症以外)、じんましんすべて有意にオッズ比が1より大きく、有意であった。また上記のアレルギー疾患が1つでもある者は、全くない者に対してオッズ比が4.96(3.76-6.53)と高かった。本人の実の父母のアレルギー疾患(花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎(花粉症以外))はすべてオッズ比がすべて1より大きく、実の母の喘息とアトピー性皮膚炎を除いていずれも有意であった。また実の父、実の母のアレルギー疾患がそれぞれ1つでもある者はない者に対してオッズ比がそれぞれ3.76(2.67-5.29)、3.68(2.62-5.14)であった。