府県別には「仕事が手につかないくらいの影響がある」者の頻度も有意な差は見られなかった。毎年のようにおこる者は母62.6%、父67.7%であり、多くの者は毎年のように症状を呈していた。府県別で差は認められなかった。
1日ででやすい時間帯は図2に示すように、母、父とも不定と答えた者が多かった。母は起床時、朝、1日中が多く、昼、夜は父が母に比べて多かった。軽快手段として図3に示すように母、父ともマスク、うがいが多く、母では掃除するが多かった。でやすい生活場面は図4に示すように、母父ともに外出中が多く、母は掃除中、布団の出し入れも多かった。
「花粉症といわれたことがありますか」の問いに対して、「ある」と答えた者は母、父それぞれ全体の17.5%、13.7%であった。母が父より有意に高い頻度であった。(P<0.01)
症状について月別の出現状況を観察した結果を図5に示す。全国総計では、母父とも春と秋に2つのピークが見られ、春のピークのほうが秋に比べて大きかった。どの月も母が父より高いが、特に秋はその差が広かった。図6には府県別月別症状出現頻度を示した。秋田、鹿児島はピークの高さが他県に比べて緩やかであった。秋田では母のピークが、春より秋の方が高かった。ほとんどの県で、春は3月4月に多く、秋は9月10月が多かった。また、1年中症状があると答えた者は母126人(症状ありの9.8%)、父198人(症状ありの17.1%)、不定と答えた者は母399人(症状ありの31.1%)父350人(症状ありの30.2%)であった。日本列島における南北の変化は明らかでなかった。
C.スギ花粉症の有病率
質問票の項目を用いて、方法で述べた定義(くしゃみ、鼻水、鼻づまりの3症状がすべてあり、かつ2月から5月のいずれかの月に出現すると答えた者)に従い、スギ花粉症の者を合計すると母252人(6.5%)、父179人(4.8%)であった。年齢階級別に観察した結果を表1に示す。母が父に比べて、どの年齢階級においても有病率が高かった。また、母父ともに30〜34歳で最も高かった。府県別では表2に示すようにすべての県で母が父より高く、母父とも静岡が高く、鹿児島、岡山が低かった。直接法により、30歳未満と30歳以上で1対1の重みをつけて年齢調整を行った結果も表2に示す。
スギ花粉症の母252人、父179人について症状の出現種類の頻度を図7に示す。症状の種類では、定義の3症状を除くと母、父ともに眼のかゆみが最も多く、母で204人(81.0%)、父で126人(70.4%)であった。その他の症状は図7に示すように母、父とも頭痛、のどのいがいが、だるい、いらいら、皮膚、呼吸がヒューヒューの順であった。