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B. 介入比較調査

研究協力者の診療所から各30名ずつ、計150名の患者さんのエントリーをもって結果解析する予定であった。しかしながら服薬に問題のある患者さんに対し各診療所でいろいろな方法でアプローチされており、新たにエントリーする患者さんが思うように数集まらず、また研究参加する患者さんの条件を以下のように細かく設定しすぎたため、対象となる患者がより数少なくなってしまった。やっとの思いで研究協力への同意を求めたが、面倒だ、試験を受けるようでいやだ等の理由でお断りなどもあり2名しか集まらず研究継続不能と判断し今回は断念した。

対象患者

3種類以上の薬を服薬中で服薬習慣に問題のある高齢慢性疾患患者

定義

3種類以上:

降圧剤と胃薬と冠血管拡張剤など

降圧剤のみ3種類(降圧利尿剤、Ca拮抗剤、βブロッカーなど)は含めない。

服薬習慣に問題のある:

処方された薬が切れているにも関わらず予約日に受診がない患者さん。(2週間分しか処方していないのに3、4週間後に受診するなど。)

自ら飲み忘れる、薬が余っていると訴える患者さん。

高齢慢性疾患患者:

65歳以上で、高血圧、狭心症、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、高脂血症、胃十二指腸潰瘍、COPD、気管支喘息、骨粗鬆症、変形性関節症、慢性関節リウマチなどのうち2疾患以上の管理治療を受けている患者さん。痴呆のため理解不十分な患者さんは除く。

 

IV. 考察

今回の調査研究は薬剤師のいないへき地診療所では十分な服薬指導が行われておらず、そのために患者さんの薬剤に対する理解が十分でないため服薬コンプライアンスが悪いという仮定の元で研究開始した。全国国保診療所長に対するアンケート調査の結果からは薬剤師がいない診療所が9割を超え、医師自ら服薬指導している診療所が半数をしめていた。しかしながら忙しい外来業務の合間に患者さんに直接薬の実物を示しながらどれが何の薬であるか説明するなど、我々が適切な服薬指導方法として提示したかったものが現在多くの診療所で行われていることが今回の調査を通してわかった。

 

 

 

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