日本財団 図書館


4] 「経済的に安定している」(系図E)

・高齢者は社会参加のために、町内会費、祭りの寄付金の必要性をよく認識している中で、経済的負担に困っていること

 

(2) 一般住民・専門家ウオンツ系図にあって、当事者ウオンツ系図になかったもの

 

1] 「十分な医療が受けられる」ための手段として、かかりつけ医がいること

2] 「健康に自身が持てるようになる」ために、健康増進のプログラムが行われていること。そのために健康増進に関心があり、健康増進プログラムが提供されていて、健康増進のための施設が整っていること。

3] 緊急災害時避難できるために、避難場所を知っていて、避難場所まで移動することができること。そのために大きな文字で案内板がかかれている必要があること。

4] 高齢者が働けるために、資格が得られ、働く場所が提供されていること。資格取得のために講習会が開催されたり、公的資金援助があったり、講習会の案内がなされていること。また働ける場所ができるように、高齢者雇用に対して町や商工会から働きかけをすること。高齢者に適した職種があることなどがあげられた。

5] 収入が十分であるために、就労中の貯金が十分であることがあげられた。貯金が十分貯められるためには、経済コンサルタントからのアドバイスを受けたり、就労中の給料自体が高くなるために地元産業が活性化されていること。

6] 高齢者が活動できるために、文化活動やスポーツ活動が盛んであり、そのために活動資金援助がされたり、活動の場、機会が設けられていること。

7] 保健・福祉サービスが充実するために、行政と住民のサービス利用に対する基準が一致しており、そのために日頃から住民の意見を聞く機会があったり、住民本位のサービスの要望調査がされていること。苦情への対応がなされていること。

 

(3) A村スタッフによる衆目評価

A村のスタッフらに系図を読んでもらい、感想と百石町との違いをフリーに語ってもらい、テープに記録し書き出して分析した。

A村は現在保健・福祉施設、診療所を建設しており一部営業が開始となった。A村は面積も広く移動に時間がかかるばかりではなく集落間の距離が長いので、集落間に連続性がなく中央設置型のサービス施設利用には移動が大きな問題となる。これは百石町における移動の手段とは質的に大きな差異がある。それが効率性を重んじる中央設置型の施設設備が滞った大きな要因なのかもしれない。そういう環境下での住民の解決方法はコミュニティー機能の維持と発展だった。現在各地域にあるコミュニティーセンターや自宅に女性を中心とした高齢者が集まり“婆やど”と称して和気藹々と時間を過ごしている。そこは生活の場所であり家事という役割を行う自宅から“歩ける距離”にあり、働く場所としての農地へも“歩ける距離”なのである。独居高齢者も少なくないが、配食サービスはなくとも、近所の方々が食事の“おすそ分け”の習慣ができていて、作りたての食事が運ばれてくるのである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION