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グループインタビューは、町内のデイサービスを利用している虚弱から要介護高齢者を対象とすることとした。対象者の日常生活自立度、痴呆の程度については、介護保険制度における指標を用いた。インタビューは日常参加しているデイサービスセンター内で行われ、緊張感を取り除くために、また、高齢者の方言や独特の言い回しを解釈するために、デイサービス・スタッフも同席することとした。インタビューは、半構造化インタビュー(表5)を基本に、得られた情報についてさらに探索的質問を加えることとした。

グループインタビューで個別な問題を聞き出せない欠点も考慮し、さらに個別インタビューを加えた。インタビュアーは個別インタビューに携わったものと同じで、対象者の基礎資料の提供も同様に行うこととした。

 

(4) 七夕調査

日本の文化において神頼みと同様に、七夕は個人の願望を唱える特別な意味を持っている儀式である。初詣や神社へのお参りと異なり七夕はそれを1つのカードである短冊に書き込むことで、ある意味で自記式の"ウオンツ"データとして意味あるものと考えた。現実社会の家族やサービススタッフへの要求とは異なり、ある種内面を隠すことなく表現するデータともなり得る。このような七夕の短冊についての意味合いを考慮し、高齢者の“ウオンツ”データとして七夕短冊を用いることにした。短冊の数に制限は設けないこととし、データとして活用することを告げずに毎年行う行事と同様に記入していただいたものを、七夕終了後了承を得て内容を保管させていただくこととした。

この七夕調査の対象者は、町内にある特別養護老人ホームの入所者と町内のデイサービス利用者で七夕短冊の記入ができるか、スタッフに話すことができて短冊に願い事を書けたもの全員とした。

 

(5) 自記式アンケート調査

高齢者や介護者などの情報を補完するためのデータとして、アンケート調査を行った。アンケートは「介護保険制度の説明会」「ゴミ処理説明会」に参加した一般住民である。このアンケートでは、回答者の背景についての質問と独居高齢者、脳卒中後遺症や寝たきりの方がどんなことで困っているかを記述してもらった。深く洞察していただくために、各項目について5つの答えを求めた。回答を1つではなく複数答えていくうちに内在する自分の考えや意識をしぼり出す効果があるといわれているからである。年齢層は特に限定しなかったが、説明会の主旨から30代から60代の方が対象となると予想した。

 

(6) Participatory Rapid Appraisal (衆目評価)

(1)(2)(3)(4)で取り上げられた調査で、高齢者あるいは介護者の“ウオンツ”は概ね抽出できるものと考えたが、データの飽和化を確認する必要がある。

データの補完と飽和化の確認のためにグループでの衆目評価を行うこととした。通常衆目評価4は、いくつかのカテゴリーに対してその重要性、必要性などその調査の目的に合わせて投票し、重み付けをすることあるいは、重み付けによりプロジェクトを選択するときなどに用いられる。

 

 

 

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