もう1つの方法は、GPS衛星のPRNを再利用する時刻同期した擬似衛星のPRNについて周波数オフセットを適用することである。このオフセットは受信機の検波前の帯域幅に比べて大きい必要がある。±32kHzのオフセットが過去及び現在のロックウェル・コリンズ社軍用受信機製品と適合している。64個の追加の擬似衛星PRNが既存の受信機のハードウェアを変更することなく利用可能である。希望があれば、最後の2つの方法を併用して100以上の擬似衛星用PRNコードを利用することができる。
航法利用不可能なC/Aコード
C/Aコードを擬似衛星ハンドオーバー機能に用いることに関して、敵軍がこれをSPS航法に用いるおそれがあるという懸念がある。この問題に対する解決策は、GPS衛星信号のC/Aコードに通常含まれている航法データを除去することである。擬似衛星のC/Aコード放送はP(Y)ハンドオーバー・データのみを含んで、航法データについては、無しにするかあるいは内容を乱すことができる。利用可能な航法データ又はアルマナックを導くために、P(Y)コードヘのハンドオーバーに成功することが必要である。
組込みメッセージ
ロックウェル・コリンズ社が製作した擬似衛星送信機は、放送信号に変調される50Hzデータ・ストリームを完全に制御することができる。これは既存のGPS衛星シミュレータに基いて擬似衛星を構成することによる内在的な利点である。この結果、擬似衛星の放送に組込みメッセージを含むことも、データのみの2次チャンネルを含むこともできる。このようなメッセージ・チャンネルを時間遅延させて、上述のようなPRN再利用の問題を軽減することができる。
運用概念
GPS航法の利点には、友軍射撃及び付帯的損害を減らすことが含まれる。擬似衛星システムにより激しい電波妨害環境でもGPS受信機を利用可能にして、これらの機能を拡張することができる。
航空及び地上の多種類のプラットフォームが配備されている。機上搭載PLは広い覆域を提供するための鍵となる。これには低コストの気球(係留索付き及び係留索なし)及び高級型の無人航空機が含まれる。地上PLは既存の通信大隊に付加することができる。自己測量型PLをポジション・ロケーション無線システム(PLRS: Position Location Radio System)に追加することにより機動性を増すとともにPLの覆域を増すことができる。HMMWV又は支援車両に搭載された高機動PLにより見通し線が隠れることを緩和して高速な部隊移動を可能とすることができる。理想的には、必要な柔軟性を得るため及び世界中の各種の地形に対処するためにこれらすべてのプラットフォームが利用可能であることが望ましい。