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組込み型受信機

 

擬似衛星の性能を向上させる鍵は、個々の擬似衛星の時刻をGPS時刻と正確に同期させることである。同期の処理には、GPS時刻を表わすタイム・タグを付けたパルス及び関連データを受信機からシミュレータに送ること、シミュレータによってパルスに正確にタイム・タグを付けること、及びシミュレータによってGPS時刻を正確に表現する定式化を行うことが含まれる。パルスのジッタ、タイム・タグ及びハードウェア構成に内在するバイアスについて、受信機とシミュレータとの各組合せごとに較正しなければならない。時刻同期問題に対する究極の対策は、擬似衛星/基準受信機の統合システムである。この改良により衛星シミュレータと基準受信機を単一のカードに収めてPCに入れる。この設計によりパルスを送ること及びタイム・タグを付けることの必要をなくす。シミュレータ組込みのソフトウェアはGPS時刻情報を基準受信機から直接引き出す。擬似衛星のRF出力を基準受信機の入力にフィードバックすることによりハードウェア構成によってもたらされるバイアスを減少させる。この方法により基準受信機がシステムに内在するバイアスを計算して、温度に敏感なハードウェアによるバイアスなどのリアルタイムの変動を補償する。

 

エフェメリス・データの転送(DTE: Data Transfer of Ephemeris)

 

DTEの概念により、擬似衛星がGPS衛星のエフェメリスを現場の「コールド」なGPS受信機に単純な方法で転送することができる(特許出願中)。擬似衛星は、擬似衛星の位置を記述する5つのサブフレームのGPSメッセージ・データを放送する。次の5つのサブフレームのメッセージ・データの放送はGPS衛星又は他の擬似衛星についてのエフェメリス・データを記述する。偶数番目のフレームが自分自身の擬似衛星のエフェメリス・データを含み、奇数番目のフレームが別の可視GPS衛星又は近傍の擬似衛星のエフェメリス・データを含むサイクルが繰り返される。すべての可視GPS衛星(又は追尾中のGPS衛星)及び擬似衛星のエフェメリス・メッセージが放送されると、このサイクルが繰り返される。GPSエフェメリス・データは、追尾しているGPS受信機(擬似衛星基準受信機)から送信機に転送される。参加しているPL受信機は、アルマナック・データに加えてGPS衛星の有効なエフェメリス・データを収集することができる。量産型ハードウェアPLGRは、GPSの時刻及び位置の良好な推定値(擬似衛星を利用するか又はその他の方法による)があるならば、エフェメリス・デタを用いてYコード直接衛星捕捉を行うことができる。

 

 

 

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