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試験結果により、主な干渉の問題はC/Aコードの捕捉についてであり、PLの電力が大きいときにPL信号が衛星信号と相互相関し始めることが示された。実際の結果は、衛星のC/Aコード捕捉が潜在的に鈍いことである。例えば、距離が250kmであると仮定して自由空間損失を考慮して必要な送信出力を仮定すると、衛星のC/Aコード捕捉はPLから70km以内で劣化する。同様に、最大距離を50kmとするとC/Aコード捕捉はPLから13km以内で劣化する。これらの例では、干渉がないときに通常のPL動作を行うことのできる電力レベルに設定するように想定している。

 

Yコード直接捕捉の結果

 

PLシステムの応用として自然なものは、特別な捕捉用ハードウェアを用いることなくYコードの直接捕捉を容易にしてGPSを補助あるいは補強することである。PLは時刻及びエフェメリスを事前に知ることなく量産型PLGRにYコード直接捕捉機能を持たせることができる。これは、C/AコードからPコードヘのハンドオーバーにおいて大電力のPLを捕捉することによって行われる。これにより正確な時刻及び最新のエフェメリス・データが得られる、時間的制約のため、実証試験ではより重要な問題である正確な時刻転送について扱い、エフェメリス・データの転送については将来の課題とした。Yコード直接捕捉によって得られる耐欺まん保護に加えて、狭帯域干渉に対するいくらかの保護も得られた。実証試験では各種の干渉源があるときに、PLを用いたYコード直接捕捉の効果を評価した。

 

航法精度

 

PL補強システムによって得られる期待される精度も関心のある領域である。主な誤差源はPLの時刻であり、これは距離測定のバイアスとして直接入り込む。PLをGPS時刻に同期させバイアス誤差を最小にするためにいくつかの手法がある。実証試験に用いる目的で、時刻同期、PLのエフェメリス変更、及びGPS受信機航法アルゴリズムを含むPLシステムの機能を実証して確認するために低コスト/中精度の手法が適切である。期待される測定誤差及びPL配置が最適でなく垂直精度劣化率(VDOP: Vertical Dilution of Precision)が不良であることを考慮すると、優れた航法安定度が得られた。測定位置M3におけるPLサイト1〜4による真の幾何学的DOPは、水平DOPについて1.1、垂直DOPについて29.7、時刻DOPについて1.7であった。

 

 

 

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