擬似衛星受信機の概要
この実証試験においてPL受信機として利用したGPS受信機は、PLGRハードウェア・ベースライン(ロックウェル部品番号822-0077-103(SM))から構成されている。PL信号の受信、並びに、PLとGPS衛星との混合モードの受信のために必要な改修は、ソフトウェア変更のみである。必要なソフトウェア変更は、プログラム変更器材として適切なケーブル及びラップトップPCがあれば現場で実施できる。ケプラー法則計算、衛星選択アルゴリズム、衛星捕捉のための捜索アルゴリズムなどが変更される。
遠近問題の結果概要
遠近性能は、大電力信号を模擬できる試験室で測定した。信号のパルス化の結果は期待以上であった。干渉がない場合には、C/Aコードの捕捉は遠近電力差86.5dBで行われ、Pコードのロック喪失は電力差91dBで発生した。干渉があるときの遠近電力差は小さくなった。これは主に強いPL信号によるものではなく干渉によるためである。-100dBWの干渉源に対して遠近電力差の限界は、PLの捕捉について60dB、追尾について70dBであった。50Hzオフセット付きの5kHzと50Hz低速シーケンシャル・パルスの両方についてこれらの電力範囲を測定した。50Hzのパルス化はパルス・ゲーティングの助けを借りずに実施し々パルス・ゲーティングは一般的に10%のPDCについて10dBの性能向上をもたらす。試験室での実証に利用できる現実的な最大電力によって性能が制限されることに注意すること。より大きなPL電力にすると受信機の電力制限内(例えば、RF圧縮、アキュムレータ・オバーフローなど)で運用距離を増加させる。
自由空間損失を仮定すると、35dBの電力範囲によって1km〜50kmの運用距離が可能となゑ60dBの電力範囲によって100m〜100kmの運用距離が可能となる。遠近問題の電力差よりPLの見通し線のほうが大きな制約条件となることは試験結果から明らかである。
干渉防止に関する結果概要
実現性のある擬似衛星システムは、既存の航法システム及び通信システムとともに動作できなければならない。参加しない受信機への干渉を調査して特性を明らかにする必要があゑ関心のある領域は、RF信号の干渉と航法データの矛盾に大別される。干渉の問題の一部は、ソフトウェアのみの変更を許すという基本原則に起因する。これによりGPSのコードと周波数を再利用する必要が生じるためである。これらの問題の一部を解決するために信号構造及び周波数オフセットを変更してソフトウェアのみの工夫を行うことは可能である。しかし。時間的制約のために、通常のGPS信号の再利用のみを採用した。このため、PLシステムの実証試験では、航法データを変更して通常のGPSのC/Aコード及びPコードをPLが送信することによる、PLシステムに参加しない軍用及び商業用GPS受信機への影響を調査した。