日本財団 図書館


(c)情報の管理・活用の容易さ

機上側から受信した位置通報や出発・到着時刻通報のデータにより、飛行評価試験では飛行位置や飛行高度などの運航状況を逐次管理することが可能となった。また機体の位置データを活用することで、気象やトラフィック、試験運航上の連絡など、適切なタイミングで適切な情報を提供することが可能となった。

試用システムでは、機上からの情報が得られるまでのタイムラグの存在と送達確認ができないために、地上・機上間の意思疎通が妨げられるケースも生じた。今後、ATNが構築されれば、情報伝送時間の保証と送達確認が実現される。そういった状況を鑑みると、データリンクを利用すれば、小型機の運航管理の精度が向上するとともに、機上からのデータを活用した適切な運航支援が可能である。

 

(d)ワークロードの軽減

地上からのリクエストに対し、機体の位置や高度の情報をパイロットの操作なく自動的に通報することが可能となった。また機体位置の記録・表示や、気象情報・トラフィック情報の提供は、地上評価装置において自動的に行うことが可能となった。音声に比較してデータは情報の記録、処理が容易であり、従来は地上・機上それぞれにおいてオペレータ操作を必要としていた運航支援、運航管理、運航監視業務を自動化することでパイロット、運航者、航空局のワークロードを軽減することが可能である。

 

(2)衛星通信の捉え方

航空用衛星通信機器の低価格化が予想したほど進んでいないこと、また機体搭載に必要な諸手続き(無線局免許等の)が船舶等と比べて煩雑であることなど、小型機運航者が衛星通信を導入する際に越えなければならない費用面・制度面の「壁」が依然存在することが3年間の調査・研究で明らかになった。また仮に衛星通信が普及したとしても、通信コスト面から衛星通信が唯一の通信媒体とはなりえず、地上波(VHFやモードS)と補完しながら存続していくことが海外の動向から予想される。また現状の衛星通信プロトコル及びデータ伝送速度では、運航者の求めるレベルの支援サービスを提供できるとは限らないであろう。

しかしながら、インマルサットのDATA-3サービス化だけでなく、MTSATのスポットビームで低利得アンテナでもAero-Iと同様に4.8kbpsのデータ通信ができる可能性(さらに先にはKaバンド等で日本国内を複数のマルチスポットビームでカバーすることでさらにデータ伝送速度が上がる可能性)があり、小型機運航への静止衛星システム導入に向け技術的な壁は間違いなく解消されつつある。一方、周回衛星システムはイリジウムを始め直ちに導入することが難しい状況であるが、経営的に軌道にのれば依然として小型機向け通信システムとして有力な候補であることは間違いない状況である。

試用システムではVHF-ACARSを利用したが、飛行評価試験においては地上波のブラインドエリアであったことが原因と思われるデータリンクメッセージの不達、再送が発生した。データリンクの利点を最大限に活用するためには通信カバレージが広く地上系の通信ではブラインドとなる空域でも利用可能な衛星通信が望まれることがあらためて確認されたといえる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION