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5.2 将来の地上支援システムに関する提言

 

5.2.1 本調査・研究が求められた経緯

本調査・研究が始まるにあたって、小型機運航が克服すべき問題として、運航率と安全性の向上が挙げられていた。

 

・運航率の向上

現状のVFRの飛行においては、天候上の問題で運航できないケースが非常に多い。低視程時においても運航が可能となること、また特に定期運航においては、それにより運航の定時性を確保することができることが重要となる。

 

・安全性の向上

機上に気象レーダーを搭載している小型機は希少であること、また低高度を飛行する場合には気象レーダーを搭載していても、電波の地上での反射により悪天候の判断を行うことが難しい状況にあることから、小型機運航に際しては、離陸後の気象状態の変化を知ることが困難な状況にある。また、ACAS等の高価な衝突防止装置を搭載することが困難であるため、周辺の交通状況の把握および衝突回避はパイロットのSee and Avoidのみに頼ることになる。これらの問題を解決し、安全性の向上を図る必要がある。

 

この問題の根幹には、小型機が通常飛行する低高度、山岳部では現在の地上波の覆域外となり常時安定した通信が確保できないことがある。

また安全性の問題に関して、本調査・研究が開始した平成9年に発生した事故が契機となり、具体的な対策が強く求められることとなった(表5.2-1)。

 

表5.2-1 平成9年に発生した小型機事故

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