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(a)伝送成功率

本飛行評価試験においてアップリンクメッセージ(位置通報リクエストを除く)を対象として得られたメッセージの真の伝送成功率は94.2%であった。但し、この値は地上側にはNO ACK(到達確認できず)と通知されながら、実際には機上側に到達していたメッセージ(約15%)を含んでおり、大型定期便に対する伝送成功率の統計値(約98%)と比較すると低い値となっている。

伝送成功率が下がった要因としては、試用した既製ACARS通信機の問題(受信感度不足、ACK待ちタイマー設置が短い)や飛行ルートの問題(VHFカバレージの限界)が可能性として考えられる。

しかし本飛行評価試験においては気象画像情報のようなデータ量の多いマルチブロックメッセージ送信や、トラフィック情報のような短い間隔でのメッセージ連続送信を行っていることを考慮する必要がある。大型定期便では1ブロックに収まるデータ長のメッセージが大半を占め、ある程度の送信間隔が保たれている。本評価試験においても1ブロックに収まるデータ長のメッセージ伝送成功率は97.7%と大型定期便並に高く、また送信間隔を十分に空けて実施した16ブロックメッセージの伝送成功率は100%であった。

 

(b)伝送遅延時間

アップリンクメッセージの伝送遅延時間の平均値は26秒で、最大で5分近い伝送遅延時間が観測されている。また、伝送ブロック数が増加するに従い伝送遅延時間が増大していくこと、従って気象画像情報のようなデータ量の大きいアプリケーションに対しては伝送遅延時間が比較的大きくなることが、通信データ解析結果から得られている。

伝送遅延時間が大きくなる最大の要因は、伝送成功率が低い(NO ACKはすべて再送の対象になる)ために「再送」が頻繁に生じることである。特にダウンリンクメッセージの不達率の高さが、位置通報(ADS)レポートの伝送遅延時間(正確には機上においてレポートを作成してから地上にレポートが到達するまでの時間)を著しく増加させ、同時にアップリンクにおいて頻繁にNO ACKを発生させていると予想される。算出された伝送遅延時間の運用会の影響については、4章において分析している。

 

(c)メッセージ順序性

本飛行評価試験においては、3通のメッセージ追い越し現象が観測された。ここでは時間間隔3分以内で複数のメッセージを送信した場合(例えば非常に短い更新間隔でトラフィック情報提供を行った場合)、わが国のVHF-ACARSを利用した通信においてはメッセージの順序性が崩れる可能性があることを示している。この現象の運用への影響については、4章において分析している。

 

 

 

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