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4.4.3 本試用システム(VHF-ACARS)

 

(1)提供サービスに関する評価

本試用システムは、通信媒体としてVHF-ACARSを利用している。前章に示したように、飛行評価試験においてはアップリンク4の伝送遅延時間の平均値が23秒で、3分以上の遅延が発生したメッセージも存在している。

また、送信時間間隔を短縮した際に、メッセージの追い越しが3件発生していること、メッセージの到達確認5、優先度管理ができないことから、本試用システムの「提供サービス」に関する評価レベルはAとする。

 

(2)適用空域に関する評価

本試用システムは通信媒体としてVHFを利用していることから、VHFカバレージ外となる山間部や離島間での利用はできない。またリアルタイム性の問題から、ターミナル空域への適用は困難であると考えられることから、本システムの「適用空域」に関する評価レベルはAとする。

 

(3)オペレーション負荷

本試用システムでは、周期的な情報授受が発生することが想定される気象情報提供、トラフィック情報提供、および位置通報の各アプリケーションに関して、周期的な自動送受信の実現がなされているとともに、マップ上への位置データの自動プロット、運航管理画面におけるデータ管理等、データの自動管理が実現されている。

しかしながら、ADSイベント通知、出発・到着通報の自動発信等、イベント駆動型のデータ送受信機能は具備していない。したがって、本システムの「オペレーション負荷」に関する評価レベルはBとする。

 

(4)提供コンテンツ

本試用システムは、コンテンツ毎に送受信手順を定めて構築しており、汎用のコンテンツ提供機能は有していない。また、コンテンツ提供者とのシステム間接続は、日本気象協会のMICOSシステムに限られていることから、その他のニーズに対応することはできない。

さらに(1)に記述されているように、本試用システム上でのリアルタイム性の要求されるコンテンツ授受は困難であることから、本システムの「提供コンテンツ」に関する評価レベルはAとする。

 

4ダウンリンクについては、CNS-12の仕様上、メッセージ送信時刻の測定が不可能であったことから、ここでの分析においては考慮しないこととした。

5ATS通信の一部については送達確認が可能であるが、本試用システムでは採用していない。

 

 

 

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