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後者については航空機が飛行中に通信可能なRGSが切り替わるために発生する現象であるが、今回の飛行評価試験では名古屋RGS一局のみを利用していたため発生要因は前者に限られる。そのため以下では1]について追い越しの発生メカニズムを示す。

地上評価装置から送信されたアップリンクメッセージ(#1)は、アビコムJDLCにてフォーマット変換11が行われた後、RGSへ送信される。この時、RGSのメッセージキュー12が一杯であると、RGSはJDLCからのメッセージを受理しない。一方、JDLCは、来るはずのないRGSからのACKを一定時間13待ちつづけることになるが、その間に地上評価装置から新たなアップリンクメッセージ(#2)が先に処理され、前後のメッセージが入れ替わって機上評価装置に到達することになる。

 

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出典: 運輸省電子航法研究所「航空管制用VHFデータリンクの研究」を参照の上、MRIが作成

図3-40 アップリンクにおけるデータの追い越し

 

ダウンリンクメッセージの場合、機上評価装置は送信したメッセージに対するRGSからのACKを受信しない限り、次のメッセージを送信できないことから、機上評価装置とRGS間でデータの追い越しは発生しない。それに対し、アップリンクの場合は、アップリンクメッセージを送信した地上評価装置がJDLCからのACK14を受信すれば、そのメッセージが機上評価装置にまだ届いていない状態でも次のメッセージの送信が可能である。

JDLCでは同一航空機宛てメッセージ順序の管理機能を有していない(ACARSプロトコルではメッセージ順序性の保持は担保されていない)ことから、再送メッセージも新しいメッセージもJDLCが受け付けた順に処理される。このためACARSでは、同一航空機宛の連続したメッセージの順序が逆転する可能性を潜在的に有しているといえる。

メッセージの追い越しを確実に回避するためには、RGSのACK待ちタイマ時間(3分)以上の間隔を置く必要がある。

 

11JDLCではTYPE-Bフォーマット(地対地の通信フォーマット: 詳細はATA/IATAICM参照)からTYPE-A(空対地の通信フォーマット: 詳細はARINC618参照)に変換する。

12ACARS通信はCSMA方式であるため、地上局RGSは一定数のアップリンクメッセージを蓄積するキューを保有している。現在、RGSは最大6通分のメッセージキューを保有している。

13現在、RGSは最大3分(l分間隔で2回リトライを実施)のACK待ち時間が設定されている。

14アビコムJDLCは地上評価装置からのアップリンクメッセージを正常に受信すると地上評価装置に対しその旨を通知するACKメッセージを送信する。

 

 

 

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