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3.3.6 メッセージの周期性

 

(1)位置通報におけるメッセージ周期性

位置通報(ADS)は機上評価装置15が一定周期でレポートを送信するよう地上評価装置からリクエスト可能である(周期コントラクト16)。

飛行評価試験における位置通報の周期性を確認するため、

・機上評価装置で位置通報レポートを作成した時間間隔(作成周期)

・地上評価装置で位置通報レポートを受信した時間間隔(受信周期)

をプロットしたものを図3-41に示す。

ADSレポートの作成時間間隔(図の左列)を見ると、機上評価装置は地上評価装置からの要求した周期でほぼADSレポートを作成していることがわかる。

一方、ADSレポートの受信時間間隔(図の右列)を見ると、地上評価装置では要求した周期でADSレポートを受け取ることが出来ていない。

 

(2)周期性が崩れる要因の分析

前述したように、アップリンクの場合は一定回数通信に失敗すると「NO ACK」を地上評価装置に通知して通信を終了するが、ダウンリンクの場合はRGSからのACKを受信する(通信が成功する)まで機上評価装置は再送し続ける。また機上評価装置は送信したメッセージに対するRGSからのACKを受信しない限り、次のメッセージを送信できない(そのために機上評価装置とRGS間でデータの追い越しは発生しない)。

つまりADSレポート(#1)がACKを受信できずに再送状態になると、それ以降のADSレポート(#2以降)はADSレポート(#1)の「送信待ち」状態になる。

本試験では、ADSレポートの伝送遅延時間を

 

ADSレポートの伝送遅延時間=(地上評価装置でADSレポートを受信した時刻)-(機上評価装置でADSレポートを作成した時刻)

 

と定義しており、その中には機上評価装置内での滞留時間が含まれる。その結果、図3-34に示したようにADSレポートの伝送遅延時間は非常に大きくなる。

またADSレポート(#1)が送信される(ACKを受信する)と、直ちに滞留していたADSレポート(#2以降)を次々と送信するため、地上評価装置での受信周期が大きく崩れることになる(図3-42)。

 

15位置通報機能は、機上評価装置を構成するACARS通信部(CNS-12)が持つADS機能を利用している。

16ADSのコントラクトは、1]周期コントラクト、2]ディマンドコントラクト(1回だけADSレポートを送信)、3]イベントコントラクト(一定高度、WPT通過等の設定条件(イベント)時にADSレポートを送信)、4]キャンセルコントラクト(周期コントラクト、イベントコントラクトのキャンセル)の4種類。

 

 

 

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