(a)のTDMA伝送方式の特徴として、データの送信するタイミングがTDMAフレームで同期しているため、伝送途中での衝突を回避することができる。
(b)の管理されたデータ伝送であるため、他局からのデータ送信を押さえることになり、データの衝突は起こらない。(c)のエラー訂正符号により、マルチパスまたは干渉波などの電波的に悪い環境下でもメッセージとして到達する確立が高くなる等、一概に占有時間が長いといってモード3のシステム全体で見たデータスループットが低いとは言い切れない。
5.2.9 通信品質の検討
5.2.8項通信容量の検討の中でも述べたが、モード3とモード2では、エラー訂正符号などにそれぞれ違いがある。ここでは、メッセージフォーマットをエラーコレクションのブロックに細分化して、BERとメッセージエラーの関係がどのようになっているかを検証した。
(1) 検討条件
メッセージエラーレートを10E-4とした場合のBERを比較する。また、データ長は、モード3のメッセージフォーマットの最大値である62バイト(ユーザデータ)で算出する。
(a) データ長ブロック
モード3の場合V/Dバーストは固定であるのでデータ長の認識が必要でないが、Mバーストによるセグメント管理が必要である。一方、モード2では、最大16Kバイトまで可変できるフォーマットとであるため、データを正確に受信するには、メッセージ長の認識が必要である。このため、モード3では、Mバーストをモード2では、メッセージ長のエラー訂正能力を考慮した。
(b) ユーザデータ
ユーザデータのエラー訂正としてそれぞれリードソロモン符号を採用している。但し、モード3の場合、72バイトの内最大5バイトまで訂正可能な(72,62)を採用しているのに対し、モード2では、255バイトの内3バイトまで訂正可能な(255,249)を使用している。
(2) 検討結果
図5.2.11-13から、メッセージエラーレートを10E-3とした場合モード2では、BERを7.2E-4、モード3では2E-4であり、BERを3.6倍改善されており、この値は、C/N値が1dB改善されたのとほぼ同等の値である。また、データ長が、モード2のエラー訂正フォーマットの最大値249(ユーザデータ)バイトに長くなった場合は、更にモード3が有利になることが予想される。