5.1.3 今後の課題
今回のシミュレーションは、モード3SARPsで規定されている音声及びデータ伝送に着目し、その一部分を模擬するプログラムを作成した。
今後、モード3のシミュレーションを行う場合、今回で実施きなかった機能及び評価を盛り込んだシミュレーション・プログラムを作成し、評価を行う必要がある。以下に今後の課題と考えられる項目を示す。
(1) シナリオ・データの詳細化
今回のシナリオ・データは、データ間隔等の時間設定幅が狭く、トラフィック量が非常多い(現状ではあり得ないような)ものを使用した。現状の運用にモード3を導入するための評価を行う場合には、データ・サイズ/データ間隔/データ発生頻度の詳細な情報をもとにシナリオ・データを作成する必要があると思われる。
(2) 通信プロトコルの完全な模擬
今回のシミュレーション・プログラムは、音声及びデータ伝送の一部分の機能しか模擬していない。より完全なSARPsの機能を有するプログラムを作成することで、今回実施できなかった項目の評価を実施する必要があると思われる。今後、実施する必要があると思われる評価項目の例を以下に示す
・航空機別/データ別の衝突回数
・航空機別/データ別の再送信回数
・航空機別/データ別の再送信に要する伝送時間
・優先処理によるメッセージ伝送時間
・リンク管理評価
(3) 評価対象パラメータの種類の拡大
今回の評価では、データ伝送に関する3種のみのSARPsパラメータを変化させた。その他のパラメータ評価も、運用環境に適したパラメータ値を決定するために重要な評価と考えられる。今後、評価に必要と思われるパラメータの例を以下に示す。
・網加入ランダマイザ
・網離脱ランダマイザ
・送達確認WAITタイマ/送達確認WAITタイマ満了回数
・リンク初期化時間