3.2 シミュレーション・プログラムでの制約事項
シミュレーションは、1台のPCで空地間の伝送(1地上局対複数航空)を模擬するため、以下の制約事項及び環境を想定した状況での伝送を模擬する。
(1) リンク状態
シミュレーションでは、全航空機はすでにリンク確立しているものとする。また、シミュレーションの途中でリンク状態の変更はないものとする。
(2) システム構成/処理機数
模擬するシステム構成は、3V1D、2V2D及び4Vの構成を模擬する。
(3) ユーザ・グループ数
各システム構成のユーザ・グループは、最大80機(SARPs規定は60機)の航空機が通信を行う。なお、3V1D構成の"D"は、最大240機の航空機を模擬する。
(4) 伝送模擬
シミュレーションの空地間伝送は、実際の音声及びデータ及び管理情報をやり取りするのではなく、MACサイクルを行、管理(M)バースト及び音声/データ(V/D)バーストを列で表した、"バースト・マトリックス"に、シミュレーションで模擬するための制御情報及びV/Dを当てはめることで行う。音声及びデータは、指定サイズ分が、V/Dバーストの内部に設定されているものとして処理する。
(5) 音声について
シミュレーションでは、ボコーダ等の音声処理装置を使用しないため、音声は、シナリオ・データを音声処理したものとし、ビット列に換算したサイズのみを使用する。空地間での音声のやり取りは、V/Dバーストに設定されているものとする。
(6) データについて
データは、指定サイズをフレーム及びバーストサイズに分割し、V/Dバーストに設定されているものとする。
(7) モード3システム・パラメータ
伝送に関連する以下のシステム・パラメータのみを模擬する。
・予約要求ランダマイザ(RR)
・予約要求再送信前遅延(WR)
・最大予約要求リトライ数(NM1)
(8) シナリオ・データ
使用するシナリオは、全航空機で共通とする。
(9) 航空機及び地上局内部処理
モード3は、240msecの時間単位で伝送すべき音声及びデータを処理するが、シミュレーションでは、地上局及び航空機内部での処理時間は考えないものとし、伝送を行うためのロジック及び各バーストへの割り当て方を模擬する。
(10) SARPsの規定
シミュレーションは、SARPsで規定された全機能を有するものではなく、音声及びデータの伝送に関する機能のみを有するプログラムである。
(11) 伝送状態
シミュレーションでは、音声及びデータが伝送中に損失しないものとする。
(12) Mバースト及びV/Dバースト
シミュレーションでは、Mバースト及びV/Dバーストに含まれる制御情報の全ては使用しない(模擬しない)。今回のシミュレーションで有効と考えられる制御情報のみを使用する。