これらの庁内LANでは、ファイル・プリンタの共有やメールのみといった利用にとどまらず、電子メールやスケジュール管理など複数の機能を提供するグループウェア機能の導入が進んでいくものと思われる。
また、メインフレームを中心とした従来型の業務系ネットワークに対して、これらのグループウェア機能を提供するネットワークを情報系ネットワークと呼ぶことが多い。
多くの地方公共団体では通常、パソコンなどの端末を複数の職員で共有しているが、庁内LANの構成については、基幹業務に限定し使う端末のみを接続した業務系ネットワークと、資源共有などのための情報系ネットワークを、セキュリティの観点から物理的に切り離して整備しているケースのほか、同じネットワークでも処理業務によって、切り替えて利用しているケースも見受けられる。
モバイル・コンピューティング環境についてみると、平成11年度の自治省調査では、携帯型のノート型PCやモバイル端末の利用率は、都道府県で44〜66%、市町村で2〜6%となっている。将来、端末の高機能化・低価格化と、福祉・防災業務などに活用用途の拡大が見込まれることもあり、地方公共団体におけるモバイル端末による庁内LANとの接続の需要は、今後増大すると考えられる。
ここで、地方公共団体の情報化の現状を、地方公共団体へのヒアリング調査結果をもとにみることとする。今回のヒアリング先は、インターネットを始めとするネットワークを積極的に活用している地方公共団体(7団体)とした。情報システムの現状に関する主な調査項目は、情報システムの変遷と概要、業務系と情報系システムにおける業務や相互接続の状況、インターネット利用業務、Webサーバにかかわる設定状況、電子メールの利用などであった。その結果を以下のとおり整理する。
情報系ネットワークを中心に、インターネットと同様のプロトコルを用いたイントラネット化が進んでいる。
またインターネットの普及により、行政情報の提供や職員と外部とのインターネット・メール交換などを行うためのネットワーク(ここでは情報提供系ネットワークとする)が導入されてきている。
情報システムのネットワーク化に関して注目すべき点としては、インターネットと庁内の情報系システムを、物理的に接続し利用していることがあげられる。現在ではこのようなケースは少数であり、庁内のネットワークとは物理的に接続していないケースがほとんどである。将来的には、このようなケースは明らかに増えていくと思われる。