第2章 地方公共団体におけるネットワーク化の状況
地方公共団体における情報システムを取り巻く環境も、インターネットの急速な普及に伴い、住民に対する行政サービスの向上に直接利用されるなど、大きく変化している。申請手続きなどの電子化や行政計画に対する住民との意見交換の場における電子的な仕組み作りなど、インターネットを利用した新たなサービスに対する期待は大きい。その一方で、地方公共団体は住民の個人情報を取扱うことから、個人情報の取扱いについては特に高い安全性が求められているため、十分なセキュリティを確保できる仕組みが整備できないと、新しい業務サービスを導入することに躊躇せざるをえないことになる。
ここでは、地方公共団体における情報ネットワーク・システムの現状を整理し、現状に合ったセキュリティ対策を検討していくに当たり、整理しておくべき考え方について記述する。
第1節 情報ネットワーク・システムの動向
地方公共団体の情報ネットワーク・システムと・セキュリティ対策に関する現状を調査するため、7団体に対してヒアリング調査を行った。
地方公共団体における情報ネットワーク・システムを取り巻く環境は、ここ数年大きく変化している。庁内のネットワーク化や、外部との接続環境などの現状については、各種報告書にその動向が報告されているため、ここでは具体的なネットワーク化の現状を把握しその動向をまとめた(参考資料1参照)。
1 情報システムのネットワーク化の状況
(1)庁内情報ネットワーク・システムの現状
地方公共団体における庁内の情報ネットワーク・システムについては、現在物理的な構成として、メインフレーム中心のシステム、CSSやイントラネットなどの庁内LANの仕組みをもつシステム、更に庁内であらかじめ決められた端末でのみインターネットとつないで利用しているシステム、庁内LANにつながった端末でインターネットを利用できるよう整備されたシステムなど、多様なネットワーク構成が存在している。
庁内LANの普及率をみると、平成11年度の自治省による調査では、98%の都道府県が、また52%の市町村が庁内LANを活用して複数のシステムが稼動している。特に市町村においては、平成10年度調査時が38%であったことから、急速にLAN化が普及していることがわかる。庁内LANの利用形態では、電子メール、ファイルやプリンタの共有が主なものである。また、電子掲示板、スケジュール管理、施設管理などのほか少数ではあるが、電子会議、電子決裁など今後更に利用団体は増大していくものと思われる。