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第2節 岩手県滝沢村における文書管理システムの導入

 

1 文書管理システム導入の経緯

 

滝沢村における文書管理システムの導入は、情報公開制度及び個人情報保護制度(以下「情報公開制度等」という。)の制度化に伴い導入されたものであり、その導入の主たる目的は、当初両制度における公文書の公開請求がなされた際の請求された当該公文書の検索であった。

情報公開制度等の制度化の経緯は、平成6年に村長が選挙公約でもあった情報公開制度等の制度化を表明したことから始まり、翌年の2月に、助役を委員長とする滝沢村情報公開制度等検討委員会を設置、情報公開制度等の制度化に関して基本的な在り方についての検討を行い、村長に対して検討結果の報告が行われた。この段階においては、庁内LANにおけるアプリケーションとしての文書管理システムの検討はなされておらず、行政情報室の設置とその場所において、文書の検索はパソコンを利用すること、従来の文書事務について情報公開制度に対応する形に改める必要性があることが検討されるに留まるものであった。

翌平成8年4月には、村長を委員長とする滝沢村情報公開制度等推進委員会が設けられ、制度化についての法的な側面、運用に当たってのシステム的な側面についてより具体的な検討を行い、委員会の下部組織として設けられたシステム専門部会において、情報公開制度等の制度化に向け従来の文書事務を大幅に見直す必要性並びに情報公開制度等による公文書の公開請求(個人情報保護制度上の開示請求を含む。以下同じ。)がなされた場合の当該文書の検索システムと日常業務としての文書事務をリンクさせたシステムの構築の必要性が論じられ、文書管理システム(公文書の検索機能と日常業務である文書事務の管理機能を持つシステム)の開発についての検討が始まった。

文書管理システムの開発に当たっては、システム部会において従来の文書事務の検証に大幅な時間を費やし、文書のライフサイクルの管理、文書の検索の容易性、文書量の削減等から、従来の簿冊(綴り込み方式)による文書の管理をファイリング・システムへ移行する必要があるとの結論から、ファイリング・システムの管理機能と公文書の検索機能とに的を絞ったシステムの開発となった。

この段階で、情報公開制度等のための検索機能は、制度化以降の文書が対象であること、検索のためのデータの入力は、職員が日常事務として行う文書の作成及び管理に併せて行うこと並びに情報公開制度等のためのデータの入力事務を無くすことの観点から開発する文書管理システムは、情報公開制度等のための単なるスタンドアローンの公文書検索用パソコンから、庁内LANの敷設による全庁的なファイリング・システムの管理を行う文書管理システムへと発展することとなった。

 

 

 

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