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第2節 インターネットを活用した開示請求の受付と公開

 

一部の地方公共団体では、ファクシミリによる開示請求の受付を認めている例がある。しかし、多くの地方公共団体では、住民からの行政文書の開示請求について、原則として庁舎内に設置された情報公開窓口などへの来庁を求めている。このため、開示請求者は、通常、開示請求書の提出時と開示文書の閲覧時の最低2回は当該地方公共団体の窓口まで出向く必要があることになる。一般に、情報公開制度の運用において、住民運動を行っている人々などからの請求の場合を除き、開示請求の件数が増加していないといわれている。開示請求手続が不便であることをその原因の一つとして考えることもできる。そして、このことは、情報公開の目的の一つである行政への住民参加意識の高揚を妨げる要因ともなろう。

民間企業や住民レベルにおける、インターネット、ケーブルテレビ網の利用普及により、高度な住民サービスをより速やかに享受できる素地が固まりつつある。今後の開示請求の受付と開示については、インターネットやケーブルテレビなどの双方向通信技術を活用することも重要な検討課題の一つである。

 

1 インターネットを活用した開示請求の受付と公開の意義

 

インターネットを活用した開示請求の受付と公開について住民側及び行政側の各々の立場からその意義を整理してみると、以下のとおりとなる。

 

(1) 住民側の意義

住民と行政の間をオンライン化することにより、住民にとって、次のようなメリットが期待できる。

・行政側の自動受付により24時間いつでも請求が可能(時間的制約の解消)

・インターネットの活用により居住地などに居ながらにしての開示請求が可能(場所的制約の解消)

 

(2) 行政側の意義

行政にとっては、業務の情報システム化を並行して進めることにより、業務の効率化・迅速化が実現でき、次のような事務改革が期待できる。

・開示請求書等関係書類の電子化によるペーパーレス化

・文書管理システムなどの関連するシステムとの連携による情報公開関連事務の効率化

・開示請求審査処理の自動化ないし半自動化による情報公開所要時間の短縮

 

 

 

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