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しかし、電子文書は、複製や改ざんが容易であり、記録媒体の経年劣化などによる内容消失等の事故が発生しやすいなどの特徴を持つため、行政機関では行政文書を電子化したとしても、紙媒体での保存・管理を行っているのが実情である。

つまり、行政文書の管理方法を、従来の紙媒体から電子文書へ完全に移行するためには、紙媒体の行政文書と同様な価値、役割、効力を、行政文書としての電子文書が有することが必要となり、電子文書の持つ改ざんの容易さなどの課題について解決が必要である。

 

(1) 電子文書の原本性確保要件

「共通課題研究会中間報告」-電子文書の原本性確保方策を中心として-(平成11年4月)において、電子文書の原本性確保要件及び措置内容について、以下のように報告されている。

ア 原本性確保のために充足すべき要件

(ア) 完全性

電子文書が確定的なものとして作成され、又は取得された一定の時点以降(原簿等追記型のものについては、追記した部分について、その追記した時点以降)、記録媒体の経年劣化などによる電子文書の消失及び変化を防ぐとともに、電子文書に対する改変履歴を記録することなどにより、電子文書の改ざん防止等を未然に防止し、かつ、改ざんなどの事実の有無が検証できるような形態で、保存・管理されること。

(イ) 機密性

電子文書へのアクセスを制限すること、アクセス履歴を記録することなどにより、アクセスを許されない者からの電子文書へのアクセスを防止し、電子文書のい盗難、漏えい、盗み見などを未然に防止する形態で、保存・管理されること。

(ウ) 見読性

電子文書の内容が必要に応じ電子計算機その他の機器を用いて直ちに表示できるよう措置されること。

 

(2) 要件担保のための措置内容

「共通課題研究会中間報告」によると、電子文書の原本性確保のための基準を、A,B2つの基準に分類し、それぞれの措置内容をまとめている。

A:対象となるすべての電子文書に適用する基準

B:消失、改ざん、漏洩等による国民の権利義務、国民生活等に重大な影響を与えるおそれのある電子文書にのみ適用する基準

 

 

 

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