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(4) 行政文書の電子化方法の検討

行政文書の電子化に関する目的を、長期保存を前提とした場合の電子文書の標準化、行政組織間の文書交換などを主眼とする場合、文書の検索性や再利用性に優れ、固有のアプリケーションに依存しない文書構造型テキストであるSGMLあるいはXMLを採用することが望ましいと言える。ただし、円滑な文書交換のために共通の文書型定義(DTD)による標準化や、SGML入力アプリケーションが汎用ワープロソフトのような高い操作性レベルにまで達していない(文書作成時の難解さ)などの課題がある。

一方、組織内での行政文書の共有化により行政事務の効率化を目的とする場合には、汎用のワープロソフトでの電子化により十分に実現可能である。

また、対外的な行政文書の提供を主眼にするならば、表示性能に優れネットワークによるドキュメント配信に適したPDFも有力である。なお、PDFによる電子化の実際は、汎用ワープロソフトにて電子文書を作成したうえで、文書変換ツールによりPDF形式の電子文書を作成することになる。

例えば過去の紙媒体で管理されている行政文書を電子化する場合には、文書データベース構築に関する作業効率を考慮する必要がある。ワープロソフトやSGML入力ソフトウェアなどで新たに遡及入力することは現実的ではなく、紙媒体の行政文書を写真撮影して画像ファイルとして電子化する方が効率的であり、再現性も高い。

行政文書の電子化においては、文書管理システムでの共有や活用及び行政文書の保存、そして情報公開・提供への対応を視野に入れる必要がある。

すなわち、行政文書の電子化の目的を、上記の観点において検討すると、文書の検索性や再利用性に優れ、固有のアプリケーションに依存しない文書構造型テキスト(SGMLあるいはXML)がやはり望ましいと言える。

こうした実態を踏まえると、固有アプリケーションによる独自形式にて行政文書の電子化をスタートさせ、文書構造型テキストによる文書管理システムが導入された時点にて、SGMLあるいはXMLへの自動変換を行う事が一つの解決案と考えられる。

また、文書を構造化して記述でき検索性や再利用性に優れたSGMLの特徴と、インターネットとの親和性が高いというHTMLの特徴、そして簡易性やデータ交換などにも優れている電子化技術として、文書の電子化という目的だけでなく様々な業界から評価されている、XMLの登場も同時に解決案として期待できる。

 

 

 

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