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実際、各会計歳入歳出決算、決算統計、行政報告書、各種指定統計、住民基本台帳、それらの諸データがデータベース化されるとき、極めて明瞭に毛呂山町の実像が描き出され始めた。そしてもそれらの諸情報に触れた人々(それは町の幹部であり、各管理職であり、各職員であり、町議会議員であり、一般住民である)は、おのずから町を考える新たな視点に立つとともに、更に高度な情報の要求を開始することになる。

骨格となる行政運営上の基本的な諸情報を積み上げ、整理し解析し、ネットワーク上に公開(共有化)することによって、それに付随し、派生する諸情報に関しても人々の要求が明確となり、行政各部は圧迫を受けることになる。そして、その時こそ行政の各部自身が覚醒し、既に整理され共有化された諸情報を模範として、個別の取り組みが始まる。

 

(2)自立する職員群

長引く不況の中、大手の銀行、証券会社、生命保険会社までが倒産し、リストラの嵐が吹き荒れ、産業界の構造そのものの変革が劇的に進行している。公務員という安定した職業に就く私たちの勤務ぶりに対し、かつてないほどに厳しい目が向けられるのは当然という情勢である。しかし、そのような中「住民のために価値のある仕事をしたい」と熱望する公務員こそ大多数である。

その大方の職員に対して、パソコンとネットワークとによる業務改善の可能性について的確な示唆を与え得るならば、たちまちにして職員は自立し、そこにはおのずと職域を超えてのダイナミックな職員同士の切磋琢磨が出現する。職員は、競って新しい技術への研究を行い、自己の実務への応用を検討し取り入れていく。そのうねりこそが地方行政を変革していく。

全職員の情報リテラシーの向上は、一握りの専門職員の啓蒙によってはこれを果たすことはできない。職員全体の自己の業務向上への意欲をいかに発現させるかである。

毛呂山町の職員は、全庁的な自主研修会の開催、職員個々における情報収集や機器活用の研究など、行政情報化・情報リテラシー向上において既に多くは自立を果たしている。そして、彼らこそが21世紀の本町を担う。そこでの行政情報化担当課の使命は、自立した職員群に対するサポートと調整にある。

 

 

 

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