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その作業が、各会計歳入歳出決算、決算統計、行政報告書、各種指定統計、住民基本台帳などの行政運営の基本となる諸情報のデータベース化とその共有化である。行政内部にはどのような情報が存在し、あるいは存在していなければならず、自らはそれらの情報を踏まえて、どのような情報を整理し発信していくべきか。その自らに対する位置付けが職員個々において明確化されていかなければならない。

行政情報化が、全庁を挙げての総合政策であるとするならば、その総合政策担当部局においては、その行政運営の基本となるべきデータベースの構築とその共有化を行政各部における取り組みに先立って手がけ、全庁に向けてその構築の典型と利活用の模範とを明示してみせなければならないのである。総合政策の担当部局である部署において、職員全体の情報リテラシー向上のため基盤となるデータベースを築いてみせるべきことは当然であるが、それ以上に行政運営の基本となるべき諸情報の情報資源が、今日までの事務形態においては「各課において存在していない」というのが多くの地方公共団体の実態である。各課の各年度における施策の成果を記した行政報告書でさえも、それが各課において20年30年と蓄積されていることはまずない。

これらを例とするネットワークを活用しての情報化推進の有用性に関する圧倒的な証明により、「パソコンやネットワークの活用に関して後ろ向きである職員は、今後職員として存続することができない」という現実をすべての職員の前に明確に示し、個々の職員における情報リテラシー獲得への積極性を引き出すことで、行政情報化の流れが加速する。

 

4 今後の研修・育成方法についての展望

 

(1)職員をどのような状況に置くべきか

このような経過により毛呂山町では現在、行政情報化の最終段階を迎えている。各会計歳入歳出決算、決算統計、行政報告書、各種指定統計、住民基本台帳、それらの諸データを20〜30年の規模でデータベース化し、職員全体が参画してこれを逐次に更新し、即座に個別の業務に活かしながら、新たなビジョンを創出していく手順が完成しようとしているからである。

職員の情報リテラシー向上のためには「整えられたデータベースを基盤にパソコンとネットワークを駆使して公益の実現を図る」という事務手法の具体的な実践、その真っ只中に職員を投げ入れることが最も効果的である。データベースの構築と共有化のその実例を実務の中に明示して、職員個々の応用を促進させるのである。

 

 

 

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