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さて、そうこうしている間に平成6年以降、パソコンのハイスペック化、低価格化が急速に進展する。特に、Windows95の登場を契機に、パソコンは万人にとって扱いやすいものとなり、パソコンの活用が一般化する。すなわち、地方行政の現場において、従来は決して取り扱うことのできなかったデータベースの構築とそのデータベース群を統合しての新たな情報の創出が可能となり、しかもそれらの作業を各部の職員が個別に行うのではなく、組織全体が同時に情報を共有しながら、並行してこれに取り組んでいくことができる時代が到来した。

従来は当然に不可能であることとして片付けられてきた「行政事務全般にわたるデータベースの構築、その共有と統合、そしてそこに生み出される新たな情報の広範な利活用による公益の確保」という新世界。それこそが21世紀の地方公共団体の事務の有り様であるが、しかし、当然そこにおいて活躍することを期待される職員は、従来の地方公共団体に長年勤務してきた職員であり、それらの人々には、新しい環境を生き抜いていくことのできるだけの技量を身に付けることが要求されることになる。そこに「情報リテラシーの向上」というキーワードが登場する。

 

(2)どういう能力要件の人材が求められるか

まず、職員は、パソコン単体ではどのような情報処理が可能となるのか、また、その単体を連結しての通信システムがどのような利便性をもたらすことになるのか、について知る必要がある。次いで、そのような機器を使いこなすために必須の技術のいくつかをマスターする必要がある。そして、どの部署にどのようなデータベースが構築されているのか、まずは庁内における主要なデータベースの全体像を把握して、自らの業務に活かすことのできる見識を涵養する必要がある。

 

3 現状の情報化研修やネットワークでの情報リテラシーの取り組み状況

 

(1)情報化研修の状況

行政情報化は、行政事務手法における全職域を対象とした革命の断行であり、永らく従来の紙ベースの手法によって事務を遂行してきた大方の職員にとっては、誠に受け入れ難く面倒な、有り難迷惑の「自己変革」を迫られることに他ならない。なぜパソコンやネットワークの活用を進めなければならないのか。職員にそのことを理解させ、納得させなければこの革命を円滑に成し遂げることはできない。そのために毛呂山町では、職員研修の対象を原則的に職員全員とし、文書件成、表計算、Windows、ネットワークなどのソフトの操作について、20名単位で各人が延べ8日間の職場内研修を受ける体制を敷き、3か年でこれを完了した。

 

 

 

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