更に、「業務との密着度」については、日常業務中の研修は密着度が高く、効率的な学習が期待できるのに対して、集合研修は一般的に業務への即効性は低いと思われ、ネットワークを利用した研修については、WBTは即効性が低く、Q&A形式は逆に高い。また、討論形式は討論内容により即効性が高くも低くもなるなど、その研修内容によって業務との密着度は大きく異なる。
最後に、「その他」の各特徴の比較については、集合研修は参加者個々の適性や理解度に対応することは困難であることに対し、日常業務中の研修は個人指導のため、柔軟な対応が可能であるといえる。また、ネットワークを利用した研修独自の特徴として受身の研修ではなく、研修に対しての個人の能動的参加が不可欠なこと、従来の紙べースのものだけでなく、音声や動画などによるわかりやすい教材が実現できることが挙げられる。
以上、三種類の研修についてそれぞれの特徴をみてきたが、どれが一番効果的か、ということではなく、研修の目的や受講者のニーズによって、それぞれの研修を選択肢として組み合わせて考えながら効果的な研修を行うことが重要であるといえる。
2 今後の研修についての考え方
実際の研修においては、これまでに述べた集合研修や日常業務中での研修が単独で用いられることはむしろまれであり、複合的な方法がとられている場合が多いと考えられる。
そこで、ここではネットワークを利用した研修についても、その複合的な組み合わせの一つとして捉え、具体的な研修においての効果的な手法として各向上策の組み合わせた手法について検討する。
(1)研修企画の考え方
研修の企画を行う上で、重要であると思われる項目及び計画策定に至るステップは以下のようなものであると考えられる。
・まず、研修を効率的に行うために研修の企画段階で研修目的を明確にすることが重要である。そのためには、第3章で述べたような情報リテラシーを各団体において具体的に、どのくらいのレベルの職員をどれくらいの人数育てたいのかという研修に対するニーズの把握を行わなければならない。