以上から、日常業務中での情報リテラシー向上策は次のように定義付けることができる。
・集合研修や自己啓発などにおいて習得した知識を、実際の業務に適用する方法について各職場の経験者が指導を行う
・パソコンを実際に利用する際に、使用方法に関する疑問やトラブルについて各職場の経験者が指導を行う
なお、職歴や役職にかかわらず、パソコンの操作能力などに優れている職員が使用方法などについて各職場で指導を行う
2 特徴
日常業務中における情報リテラシー向上策の特徴としては以下のようなものが挙げられる。
(1)業務との並立
各職場において、職務遂行中に生じた疑問やトラブルに対して時間をみて臨機応変に指導できるため、「研修」名目の特別な時間確保は必要なく、しかも仕事に即した実践的知識を教えつつ情報リテラシー向上を図ることができる。
(2)実践的知識の優先
業務中の個別の状況下での教育になるので、その時々の業務の状況に応じた教育が可能である。しかし、状況に応じた単発的な教育がほとんどになるため、この方式の研修だけでは体系的な知識の習得には向かないといえる。
(3)効率的な指導
体系的な知識の習得に向いた講義方式ではなく、業務に密着した知識を個人のニーズや疑問・トラブルが生じた場面に応じて、実務に即した形で習得することができるため、学習及び指導の効率が良いといえる。
(4)受講者の適性に応じた指導
実務の現場での指導であるため、ごく小人数もしくは個人への指導が中心である。したがって、参加者の適性や理解度に応じた細やかな指導が可能である。また、指導者の側にも教えられる側の適性や理解度をある程度把握できるだけの能力や経験が要求される。