第3節 日常業務中での情報リテラシー向上策
ここでは、日常業務中において情報リテラシーを向上させる方策について整理を行う。
日常業務中での情報リテラシー向上策の定義、特徴及び考えられる研修内容は次のとおりである。
1 定義
日常業務中での情報リテラシー向上とは、「日常業務の中の様々な場面で、業務の流れ、考え方、作業方法などに関して不慣れな職員に対して、経験者が指導を行うこと」である。
これはOJT(On the Job Training)という名称で、日常的に各職場において、上司や先輩が後輩や不慣れな職員を必要に応じて指導するという形で行われている。
情報リテラシー向上のための日常業務中における指導の在り方を考えた場合、前節で述べた集合研修の内容をフォローするという形で、互いに整合性を持たせながら計画的な指導を行うことで、更に両方の研修効果を発揮することができるものと考えられる。つまり、集合研修において学んだ情報リテラシー向上に関する知識を、実際に職場において各人の仕事に当てはまるように噛み砕き、教える作業(例えば、研修受講者が従来、手作業で処理していた内容の仕事などを見つけ、「パソコンで処理するとこれだけ作業が早く確実に出来る」ということを目の前で確認させる作業)を行うことで研修内容の確認と定着を図るものである。
また、こうした計画的な「学び」だけではなく、パソコンやソフトウェアの操作方法、あるいは「ある事務処理をより迅速に間違いなく行うためにはどのようなソフトウェアをどのように使えばよいか」といった問題解決に至るまで、日常業務の中で職場の経験者に相談し、意見や指導を受けることによって、集合研修において体系的に学んだ知識が身に付いていくことになる。
更に、情報リテラシー向上について従来のOJTと大きく異なる点として、必ずしも職場の先輩が後輩を指導するという形をとらないということが挙げられる。つまり、職務経験が浅い職員であってもパソコンなどの操作能力や問題発見能力などが優れていれば、後輩が先輩を指導するというケースも十分あり得るのである。したがって、日常業務中での情報リテラシー向上については、こういった事情を念頭においた職場での意識改革も必要となってくる。