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しかし、受講者の関心や理解度、適性などにばらつきがあり、それぞれの受講者に個別に対応する必要がある場合、研修内容は固定的なものではあり得ず、集合研修は不適当な研修形態となる。

したがって、集合研修を実施する際には、受講者の関心や理解度、適性などがある程度均質になるよう考慮して、研修の対象者を決定する必要がある。

なお、受講者の関心や理解度、適性などについて、研修の主催者が間違った理解をしている場合には、集合研修の効果は上がらない。集合研修を実施する際には、その対象者層についてあらかじめ十分理解しておくことも重要である。

 

(2)研修内容としては普遍的な内容が扱われる

集合研修という研修環境は、日常の業務とは別に人為的に作り出されたものである。また、そこで研修する内容も、日常の業務という文脈からは切り離され、一般化されたものが中心となる。

このため、集合研修における研修内容は、個々の業務や事例に個別に対応するというより、あらゆる業務あるいは事例に応用可能な一般的知識を、体系的・網羅的に扱うものが中心となる。これは逆にいえば、集合研修で研修した内容を個々の業務や事例に適用するためには、集合研修で得た知識を、個々の業務や事例に沿った形に当てはめていく作業が不可欠であることを示している。

したがって、業務に実際に役立つ知識の習得は、集合研修だけでは完結しないと考えるべきである。学習した知識の適用方法について学ぶ機会を日常の業務の中に準備する必要がある。

これは、講義形式だけではなく、ディスカッションやグループ学習などの形式をとった場合にもあてはまる。こうした形式は、講義形式よりも具体的であり、業務や事例に対応している部分が大きいのは確かであるが、基本的には想定される代表的な状況を想定したものであることが普通である。このため、集合研修だけで業務に実際に役立つ知識の習得ができるとは、やはり考えるべきではない。

 

(3)研修と業務は時間・空間ともに明確に区分できる

集合研修は、開始時間と終了時間が明確であり、また空間的にも執務環境とは別の場所で実施されるため、研修と業務との区別をつけることが容易である。

 

 

 

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