2 課題
情報リテラシー向上策の課題は次のとおりである。
(1)操作研修以後の研修方法
パソコンやソフトウェアの基礎的研修ないしは中級研修を終えた後、情報技術を利用した事務改善や事務の高度化のために、市民や庁内(あるいは部署内)のシステム化ニーズを汲み取って、システム企画、開発管理を行うことのできる職員を養成しなければならない。しかし、その研修方法や具体的な研修目標については各地方公共団体とも試行中ないしは模索中の段階にあり、確立された方法論や目標が存在していない状況である。
(2)研修の費用対効果の測定
研修の費用対効果を定量的に測定することは大変に困難である。
まず費用面において、集合研修に要する費用は比較的定量化しやすいとしても、現場の経験者による指導や非公式のサポートなどの日常業務中の研修に要する費用を積算することは事実上、不可能だといえよう。
次に、効果面については、研修の効果というものは短期間に現われるものと長期間にわたってから現われてくるものがあるはずであり、例え定量化できたとしても、それを単年度の研修費用と比較することは非常に困難であるといえる。
(3)繁忙期の受講率
予算策定などの繁忙期に重なると、受講対象の職員あるいは受講を希望した職員であっても出席できないものが出てきがちである。「必要な職員が繁忙のために受講できない」という矛盾は、時期が定まっている集合研修には必ず付きまとうものである。
(4)研修機材・スペースの不足
集合研修での機器操作研修のために、受講希望者全員分の機材やスペースを確保することが困難な地方公共団体では、効率的な研修が難しい状況にある。