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更に今後は、ネットワーク化の対応が遅れた地方公共団体は、行政としてのサービス水準が低いと見なされ、民間企業は立地せず、住民も転出していくようになる危険性もある。既に民間企業の中には、地域の情報通信基盤の充実度を立地の条件としているところもあり、こうした危険は決して空想の産物ではない。

こうした、外部との情報流通を効果的に実行しなければならないのは地方公共団体の職員自身である。主体的、意識的に情報を収集・選別し、処理を行って、必要な相手に対して発信していくためにパソコンやネットワークを縦横に活用できる能力は、これからの地方公共団体職員にとって不可欠の素養であり、この能力を身に付けることは重要な職務であるといえる。

また、外部との情報流通を推進し、実効性のあるものにするためには、地方公共団体内部においても、文書の電子化や業務へのネットワーク活用などによって情報の共有化、事務の簡素化・効率化を進めなければならない。ネットワークを通じた外部との情報流通は、内部のネットワークの充実と相まって、初めて活発化される。

このように、外部との情報流通を効果的に実行するためには、個々の職員の努力のみならず、首長や管理職などのマネージメント層を中心とした、地方公共団体の組織としての取り組みが不可欠であることを示している。

 

2 意識改革の必要性

第2章で触れた地方公共団体の機能の高度化への対応のために必要なのは、情報リテラシーだけではない。

地方公共団体に関しては、これまで、いわゆる「縦割り行政」や、施策に関する説明不足などといった問題が指摘されてきているが、そうした問題に対処できず、あるいはそうした問題を生み出してきた、首長、管理職を含む職員の意識を改革していくこともまた、地方公共団体の機能の高度化のためには欠かせない条件である。

例えば、部署間での情報共有は、情報共有のためのシステムを構築し、職員がその操作方法を習得しさえすれば実現できるわけではない。情報共有は、そうしたシステムを操作して情報を公開しようとする職員がいて初めて実現するものである。これまでのように、入手あるいは収集した情報を自分一人で、もしくは自部署だけで囲い込むという意識のもとでは、情報共有を実現することはできない。更にいえば、公開しようとする職員を理解し、支援する管理職の存在も、情報共有のためには不可欠である。

 

 

 

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