2 地方公共団体の機能の高度化
次に地方公共団体自体についての現況をみてみると、地方分権の進展や経済の低成長による財政状況の悪化、住民ニーズの多様化などに伴って、その役割は今後、更に複雑化してくることが考えられている。
このような中、地方公共団体本来の役割を見直し、事業の効率化や組織の改善に取り組むという、いわゆる行政改革の動きが各地で行われている。
行政改革の具体的な方策としては、
・住民ニーズの把握に基づく施策の立案
・情報公開の徹底
・住民との共創や協働といった住民参加
・行政評価制度の導入
・内部組織の統合及び再編
などが進められているが、地方公共団体においては、様々な課題に対して、ネットワークなどを活用してその解決を図り、新しい時代の要請に応えていかなければならない。言い換えれば、地方公共団体は各種施策に必要な情報の収集を行ったり、広く情報を公開したり、住民とのコミュニケーションを拡大することが必要になっており、そのための手段として情報化・ネットワーク化が不可欠なものになってきているといえる。
このように地方公共団体に必要となる機能は高度化してきている。
ネットワーク活用による事務の高度化の事例としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)アカウンタビリティ(説明責任)の強化
ホームページの開設による情報公開の手段の拡大や情報に関する検索性向上により、地方公共団体が保有する情報に対する住民のアクセス手段は大幅に向上している。
これは地方公共団体にとっても、施策の必要性や問題点、議論の内容などをホームページなどによって的確にプレゼンテーションすることが可能になってくるものといえる。
(2)住民・民間諸団体との協働の進展
ネットワークの持つ情報の即時性や広域性を活かした住民やNPO(Non-Profit Organization)など民間諸団体との合意形成や連携が、インターネットを活用した意見収集や住民同士の会議室設置などといった形で促進している。
このような協働を、更に進めるため、庁外との情報共有が積極的かつタイムリーに行われるようになっており、住民や諸団体とのコミュニケーション・ツールとして情報化・ネットワーク化が不可欠なものになる。