第2章 ネットワーク化の進展と地方公共団体の変化
この章では、地方公共団体の情報化に関する動向として、ネットワーク化の進展が社会全体や地方公共団体に与える影響及び地方公共団体の住民ニーズヘの対応がネットワークの活用により、どう高度化していくのか、ということについて整理を行う。また、こういった変化に伴い、地方公共団体の事務の在り方がどのように変化してくるのか、ということについて展望する。
第1節 ネットワーク化が社会や地方公共団体に与える影響
ここでは、地方公共団体を取り巻く社会全体がネットワーク化の影響によってどのように変わってきたのかを整理する。
1 社会の変化
(1)経済活動の変化
今日、情報通信に係る社会的インフラの整備は急激な進展を遂げており、地方公共団体を取り巻く社会の環境についても、通信ネットワークシステムとデジタル情報技術の発達により大きく変化してきている。その代表的なものとしては、
・高性能パソコンの低価格化
・使い勝手の良いソフトウェアの普及
・インターネットに係るプロバイダ接続料金の低下
などが挙げられ、誰もが日常的にグローバルな情報ネットワークにアクセスできる条件が整いつつある。
また、こういったインフラ整備を背景として民間の経済活動においても電子化が目覚しく進展している。国際競争力の維持や業務効率化などのため、企業間のEDI(Electronic Data Interchange)やCALS(Continuous Acquisition and Life-cycle Support)などの商取引や企業内における文書の電子化が日常的になりつつあり、この動きが電子認証制度や電子マネーなどの仕組みの開発により、一般消費者を取り込んだECの実用化へと進展している。こうしたECの実用化の取り組みなどは、行政事務の更なる効率化・迅速化や住民サービスの向上を図る上で重要な意味を持つものになってきている。
(2)情報発信の大衆化
また、ネットワーク化は情報の受発信という面でも社会に大きな変化をもたらしている。それは、情報発信の大衆化とでもいうべき内容の変化で、インターネットを通じて情報の流通量は飛躍的に増大しており、それによって個人が受信できる情報の種類や量が、増大しただけではなく、従来、情報の受け手でしかなかった個人が、ホームページなどを使って広く社会全体に情報発信することを可能にしている。例えば、大人だけではなく、小学生までもがホームページを開設し、情報発信していることがさほど珍しくもなく、日常化してきているように情報発信が一部の限られた人のものから誰にでも可能なものへと大きく変化している。