日本財団 図書館


第2節 高度情報化社会の人材育成

 

1 高度情報化社会の特性

コンピュータや情報通信ネットワークの発展は急速であり、近い将来においては、更に高度化していくと考えられる。具体的には以下のような技術的環境が生まれてくる。

・マルチメディア技術の発展による文字・音声・画像などの情報の形態によらない高速な情報交換環境の実現

・移動体通信技術の発展により、いつでもどこでも情報を受発信できる環境の実現

・不特定多数への情報配信において、テレビ、ラジオなどの同時型に加え、ビデオ・オン・デマンドなどの蓄積型の普及

・知識処理や自然言語処理などの情報技術により異言語間の翻訳や手話と音声の変換などによる情報交換のバリアフリー化

・EC(Electronic Commerce : 電子商取引)による電子的な経済活動の実現

これらの情報の高度化は、外見的には在宅で医療を受けることができるようになったり、道路の混雑を避けて簡単に目的地に到達できたり、どこでもいろいろな行政サービスを受けたりできる利便性の向上としてみられる。しかし、我々の内面において、価値観を変化させ、生活や業務において個人と家族、地域、組織、社会との関係や形態を再編していくものでもある。高度情報化社会の価値観の変化とは、まず情報自体に価値を見出すことから始まり、時間や空間的な距離によるコストが見直され、オン・デマンド的な商品や情報の流通により、大衆志向・大量生産から個人志向・少量生産へと移ることである。社会の中に情報は大量なものとなり、選択の幅が広がり、規格統一することではなく、多様であることを許すことになる。個人としてみれば、自己責任性が増大し、自立して行動できることが求められる。

個人と組織の関係においては、これまでの組織が例えば、そこの住人であるというように自己の意識がなくても組み入れてしまうことに対し、高度情報化杜会においては、空間的な制限はなく、個人自らの意思により参加するかどうか決まるものである。このようにして構成された組織がバーチャル・コミュニティである。バーチャル・コミュニティにおいては、年齢、性差、職制などによる区別はなく、極端にいえばそれを認識することも不可能であり、すべてにおいて平等な組織を構成することも可能である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION